概要
今回はAPS本大会の会場でライフルとハンドガンのそれぞれの超一流の方に気になっていた事を教わって来たのでシェアします。
気になっていたのはライフルの場合は銃の命中精度、ハンドガンの場合はスタンスをどうすればいいか?です。
前半でライフル、後半でハンドガンの話をします。気になる所だけ読みたい方は上の目次から飛んで下さい。
ライフル編
前回お話ししたように今回は高得点を狙うのはは諦めていました。
ところが、今回のライフル本大会ではちょっとした事件が起こりました。
APSライフル史上初になった選手の話
ライフルの精密射撃では、
こんな感じの射撃コートという身体を固定する為の硬くて重い服を着たりします。オリンピック選手が着てるヤツです。
でもこれ、値段は高いし、重くて嵩張るから運ぶのも大変だろうし、夏は地獄のように暑いらしいので、気軽に射撃で遊びたい私は持っていません。気軽に撃てる事がAPSの長所のひとつですからね。
そこで私は「射撃コート無しでどこまで行けるか?」を目標にしていました。
それを実証してくれた方が現れたんです。フリーサイト部門の射撃コート無しで196点という途方もない点数を叩き出した◯◯マさんです。
JASG公式サイトの説明によると射撃コート無しで195点以上を出したのは史上初だそうです!
(スコープ付のフリーサイト部門は195点以上でグランドマスターバッジ獲得)
コート無しでも最上級バッジのグランドマスターまで行けるんだ!という浪漫を魅せて貰ったような気がします。
試合終了後、この日のヒーローとなり質問責めにあっていた◯グ◯さんから名言をお聞きしました。
「暑い日も寒い日も練習する事です」
重くて深いですね〜。
聞くだけだと当たり前の事のようですが、若い頃に他のスポーツで1日も休まず練習した事があるので、これを実現するのがどれほど大変な事か良く分かります。
それほどの覚悟で望んだ今回の本大会だったんでしょう。お陰で浪漫と希望を魅せていただきました。ありがとうございました。
貴方は少年(の心を忘れないおじさん)達の希望です。
中たるAPSライフルとは
となると次に気になるのはオ◯◯さんの銃です。
大まかにではありますが◯◯マさんご本人と製作者である蔵前工房舎の桑田社長さんから色々とお聞きしました。
インナーバレルは桑田社長がお勧めの社外品です。ノーマルの内径6.15mmに対して社外品の内径は6.08mmだそうです。
内径がどうと言うより、ずっと同じ内径でデコボコしてないか?太くなったり細くなったりしてないか?の方が重要との事でした。
ただ、そのバレルは数に限りがあるようなので、私は例のテフロンバレルで似たような効果が出せるのか試してみたいと思っています。
それからセンター出しです。
インナーバレル・パッキン・チャンバー・ノズルのセンターがキッチリ合っていて、ノズルが真っ直ぐ正確に弾保持位置まで入って行くか?という事です。
そう言えば、何度もバラして組んでを繰り返すと、コッキングの最後のひと押しの所でコツンと引っ掛かる事がありました。センターが出ていなかったのかもしれません。
オグ◯さんの銃も最初はセンターが出てなくてグラグラだったそうです。
そしてピストンヘッドです。
ピストンが前進してシリンダーヘッドに当たる時に僅かな衝撃があります。
私が以前話した「共振の原因かも?」と言ってたヤツです。
ガスブロとかと比べると、ほんの僅かに揺れる程度なので気にならない事も多いと思いますが、
やっぱりあのコツン!って衝撃は精密射撃銃としては何とかしたい所です。
蔵前工房舎ではオリジナルのジュラコンピストンでこれに対応しているそうです。ちょっとしたエアブレーキのような効果があるそうです。
形状は違いますが分かり易く言うとVSR-10.Gスペックみたいなもんかな?
私のSR96はピストンヘッドとスプリングが替えてありますが、それでどの程度効果があるのか?今後の検証で・・・・って、待てよ?
これから加速シリンダーにする予定なんですが、そうなるとピストンスピードが上がっちゃいますね!大丈夫かな(大汗)
ダメだったら加速シリンダー専用スプリングでも作ろうかな・・・
因みにトリガー周りにはスチールシアや回転軸のベアリングも入っているそうです。トリガープル軽そうですね。
トリガーがスムーズな銃って撃ってて楽しいですからね。ちょっと欲しくなりました。
弾の話
次に弾の話です。
今回、オグマさん(◯はどーした(^^;;)が使った弾はBLSの0.4gプラ弾だそうです。
もっと重い弾より重量誤差が少なかったから、という理由のようです。
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弾の選別というと直径を測る方法が有名ですが重量誤差に着目したんですね。
勿論、直径がどうでもいいという事ではありません。
桑田社長曰く、重さも径も両方大事!との事ですし、更に言えば、その中でも選別ゲージの5.96mmをすり抜けるような小さな弾が良いそうです。
これは初耳でした。勉強になりました。
そして初速については、速過ぎても良くない、0.2gで88〜92くらいが良い、との事です。
確かに速過ぎると空気抵抗で弾が暴れる気がします。
例えば、強風の日に車で高速道路を走ると、スピードが速過ぎるとハンドル取られますしね。
バイクだともっと良く分かります。風圧って常に変化してるし、風を切った風下側に空気の渦巻き(乱流)が出来て、負圧で色んな方向に引っ張られる感覚。
この例えが合ってるのか微妙ですが、弾だって空気抵抗(乱流)は少ない方が良い筈です。
私が超重量弾を好きな理由のひとつです。直進性は言わずもがな、重ければ必然的に初速は遅くなり乱流も減ります。
10m飛べば良いAPSライフルなので、いたずらに初速を上げるだけでは命中精度が下がる、という事でしょう。
やっぱり長年APSライフルを作ってきた桑田社長のノウハウは凄いです。
以前、引越し前の蔵前レンジでカスタム銃を撃たせてもらった事がありますが、ノーマルを遥かに凌ぐ命中精度に驚愕した事を今でも覚えています。
中たる銃は面白い!その興奮が私の銃イジリの原動力にもなっています。
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蔵前工房舎はバトンレンジ併設です。バトンレンジは私の知る限り国内最大のエアガンシューティングレンジです。1日居ても飽きません!バトンレンジはこちら↓
ハンドガン編
続いてハンドガン編です。
ハンドガンの場合は射撃距離が近い事もあってノーマルのAPS-3でもよく中たるので発射機構に関する不満はありません。
ハンドガンの難しさは銃の命中精度ではなく、ストックが無い、片手で持つ等の不安定な状態でどうやって銃を止めるか?です。
どうやって銃を握るか?ももちろん重要ですが、その土台となる人間の身体がグラグラしていては握り方以前の問題です。
誰に教わったの?
グラグラさせない為に身体の土台となる足、スタンスについて何が正解なのか、超上級者の方に教えて頂きました。
その方とは本大会や公式試合での優勝回数は数知れず、あのリスキー加藤さんの練習仲間でもあるAPS界の北の魔人、アカ◯さんです。
APSラジオでア◯マさんの話を聞く度にその練習方法には興味がありました。普段はブルズアイしかやらない、という練習方法です。
もちろん試合前にはプレートとシルエットの調整もするそうですが、普段ブルズしかやらないのに上位入賞してしまう練習方法は多くの方の参考になると思います。
自宅ではブルズアイくらいしか撃てない、という方が多いでしょうからね。
まずはインラインスタンス
では本題のスタンスです。まず教わったのは基本となるインラインスタンスから。
・立ち方
標的に対して真横を向いて立ちます。足の開き幅はほぼ肩幅で両足は平行。
ブルズの標的(黒点)からまっすぐ射座まで伸びた射撃線に合わせるのは爪先ではなく母趾球だそうです。(母趾球:親指の付け根の膨らんだ所)
・左手
左手はポケットかベルト。
・銃を振り上げる
銃を握り右腕を上方45度あたりまで振り上げます。(90度近くまで上げる人も居る)
そこから腕を下ろそうとした時、注意ポイントがありました。
・上げたら一旦、上で止める
振り上げた腕をすぐに下さない、という意味です。上げた所で一旦止めた方が良いそうです。やってみると止める事により三角筋がリラックスするような気がしました。
リラックス効果を狙って90度近くまで上げる人が居るのかもしれません。
アカマさんはスピードシューティング出身なので上下方向は45度まで向けて良い、という癖が付いているそうです。
・上でのサイトアライメントは気にしない
上げた位置でサイトアライメントを合わせる必要はありません。(サイトアライメント:フロントサイトとリアサイトの位置関係)
ここでサイトアライメントを合わせてしまうとフロントサイトが下がり過ぎます。フロントサイトが上に飛び出してるくらいで丁度良いです。
慣れて来たら飛び出し具合が毎回同じになるように。
胸いっぱいに空気を吸い込むのも忘れずに。
・銃をゆっくり下ろす
そして黒点に向かって銃をゆっくり下ろしてきます。
ゆっくり、がポイントです。ここは津場さんの動画のアプローチと同じですね。
・狙点最終調整は「揉む」
サイトが黒点の辺りまで落ちて来た時、丁度よくピタッと止まっていれば良いんですが、そんな事はまずありません。少しは揺れています。
そこで再び一旦止めるそうです。止めると言っても長時間だと酸欠になって大揺れが始まるので出来れば1~2秒、長くても数秒程度です。
・許容する揺れ幅
この時見るポイントはサイトアライメントを綺麗に維持したまま、揺れ幅が黒点(2センチ)の範囲内に収まっているかどうか?です。
置き撃ちのような完全静止は不可能なので、2センチに入った辺りでシアを落とせるようにセカンドステージをある程度絞っておきます。
もし狙ってる間に大揺れが始まってしまったら既に酸欠です。諦めて一旦銃を下ろして酸素を補給します。
ここも津場さん動画のトリガリングと同じですが、ライフル以上にハンドガンの方が影響は大きいと思います。
・インラインは足だけじゃない
インラインの立射姿勢で注意ポイントをいただきました。足の位置だけでなく両肩を結んだラインもインライン(射撃線と平行)にした方が良い、との事でした。
つまり首より下は完全に真横を向いたまま、捻るのは首だけ!という事です。身体が硬くなった中年おじさんにはかなりキツい姿勢ですが理想的には、という事です。
この写真の人はまるで小学生のような首の柔軟性ですね!
・練習目標
まずはこの姿勢を基本として「点数はどうでもいいからグルーピングが小さくなるように沢山撃つと良い」との事でした。
それ(例えばグルーピング2センチ)が出来たら応用編として少しずつスタンスを変えてみる等のモディファイを加えて行く、という順序です。
・クローズドスタンス
アカマさんの場合は今ではインラインを通り越してクローズドスタンスで撃った方が中たるそうです。
ただし、クローズドスタンスは腰への負担も大きいので練習後にストレッチをしているみたいですね。
クローズドスタンスは腰椎を捻って関節の遊びを絞り切る事で関節をロックして固定する、という、カイロプラクティックに似た考え方です。
が、本来回旋が不得手な腰椎を捻るので運動不足の中年おじさんは腰痛になるリスクがあります。
高得点の為なら努力する!という方には、事前に腹筋、背筋、ストレッチで若い頃のような弾力性のある筋肉を取り戻す事をお勧めします。
・練習量
因みにアカマさんの場合の練習量は普段はブルズのみ50発。腰の調子を見ながら30発に減らしたり練習を休む事もあるそうです。
試合前に行うのはプレートの振り上げとシルエットの狙点確認程度でシルエットは片手で撃つそうです。
シルエット片手は、私は怖くて真似出来ません。アカマさんレベルになると揺れる事なんかより見え方の方が重要なんでしょう。片手と両手では目とサイトの距離が変わりますからね。
・パームレストの調整
それとパームレストの位置調整について教えて頂きました。
練習後に鬱血の痕が残るようではきつ過ぎるようです。私の場合、練習後に銃を離すとグリップに当たる部分にクッキリと黄色と赤の模様が出来ていました。これではキツいと言う事です。
かと言ってユルユルという訳にも行かないのでこれは何度も調整して合った所を見つけるしか無いようです。
・タイマーは要らない
これもあちこちで聞く話ですが最初の内はタイマーは要らない!との事でした。私もライフル練習で実感していましたが、ゆっくり狙った方が中たります。
ゆっくり狙って小さな的に中たるようになれば、どうすれば中たるのか?が何となく分かります。
最初から時間に追われて、中て方を覚える前にガク引きを覚える必要はありません。
ホントはもっと色々お聞きしたかったんですが、あまり長時間になっても迷惑でしょうし、この辺でお礼を言って引き上げました。
・技術も心も上級者
見た目の迫力がある方なので声を掛ける時はドキドキでしたが、話してみるととても優しく、しかも分かり易い話し方をしてくれる方でした。
途中で山中ドンドンの小ネタで笑わせてくれたりして、緊張していた私に気を遣ってくれたんだと思います。
アカマさん、本当にありがとうございました。
KSCブース
話は変わって今回は久しぶりにKSCのブースがありましたね。
AP200やGP200が売ってたのも驚きですが、個人的には「KSC 0.29g グランドチャンピオン BB弾」が売っていたのが嬉しかったです。
マルゼンのスーパーグランドマスターBB弾が製造終了しちゃいましたからね。KSCがこの弾を継続販売してくれるならハンドガンクラスはこれで良いんじゃないかと思います。
G&GやBLSの3.0gプラ弾とかありますけど、ワックスでバレルが汚れるとアカマさんも言ってたし。
ライフルは真っ直ぐ10m飛ばす為に重さが必要なのでしょうがないんですが。
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まとめ
今回の本大会は教わる事の多い有意義な大会でした。
上手い人やショップ、メーカーの人達も質問すれば丁寧に教えてくれる優しい方ばかりです。
暇そうな時を見計らって声を掛けてみると為になる事を色々教えてくれます。
「こんな時、どうすればいいんだ?」の答えが分かるのは楽しいもんです。
理解が深まればエアガンを更に好きになれますからね。
そんな楽しみ方が出来た今回の本大会は、下手すりゃ自分の成績が良かった時より面白かったかもしれません。
親切に教えてくれた皆さん、本当にありがとうございました。
では今回はこの辺で(^^)/~~~
後日追記
本業が忙しくなって来た為、少しの間エアガン競技とブログの更新を休止させていただきます。時間に余裕が出来たら再開します。
リスキー加藤さんがAPSラジオで言ってましたね。遊ぶ前に仕事しろ!と。
これを書いてる時点で数週間、銃に触れていません。寂しいもんですね。
つい誘惑に負けてガンロッカーを開けそうになる事もありますが、グッと堪えて今は働きます。
こんな素人ブログを楽しみにして下さった方には申し訳ありませんが暫くお待ちください。
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