概要
今回は、マルゼンから2021.10.21に発売されたAPS競技用ライフルSR96-11Sの紹介の2回目です。
内容はSR96-11Sに載せた、マルゼンのマイクロサイト、商品名:プレシジョンサイト、の説明です。
その1初速測定編をまだ読んでいない方はこちらへどうぞ
マルゼンから発売されたSR96には、SR96-11SとSR96-20Sという2つのバージョンがあります。
20Sの方は、エアガン好きにはお馴染みの20ミリレールが付いていて、スコープを装着出来る仕様です。
ただし、この20mmレール、ザバゲ界隈では標準となったピカティニー規格ではないようです。
私のマルゼンtype96.LE2021ウッドストック(マウントレールは恐らくSR96-20Sと同じ)の場合、HYUGAのマウントリングは付きましたが、
普段は次世代電動ガンに載せているノーベルアームズのDouble Nut Mount High(HYUGAより固定ボルトのシャフト部分が太い)の場合はマウントレールの間の溝の間隔が狭くて、嵌りませんでした。
モッジ(右:シャフト径はHYUGAとほぼ同じ)と並べてみると、ノーベルアームズ(左)のシャフトは太くて角張っています。
マルゼンAPSライフルのマウントレールは、ピカティニー規格より、マウントレール側の溝の幅が狭いようです。
どうしてもシャフトの太いリングを載せたい場合は、溝を削って広くすれば嵌ると思います。
11Sの方は、エアガンユーザーには馴染みの薄い、11ミリという規格のレールが付いています。
11ミリレールというのは、実銃の精密射撃競技の世界では一般的な規格で、マイクロサイトというサイトを取り付けます。
マイクロサイトって何?
エアガン好きな人でも、特にライフルでの精密射撃が好きな人じゃないと、知らない人も多いんじゃないでしょうか。
マイクロサイトとは、ピープサイト、即ち丸い穴の開いたタイプのオープンサイトの一種で、穴の大きさを小さくして精密射撃用に特化した物です。
マイクロサイトではありませんが、見慣れたピープサイトの一例として、
例えば、M16A1のリアサイトはピープサイトです。(この写真は無可動実銃です)
M16A1の場合は、この穴の大きさを2段階に切り替えられるようになっています。
大きな穴は近距離の標的を素早く狙う時、小さな穴は遠距離の標的を正確に狙う時、というように切り替えます。
だから・・
近距離で素早く狙って早く撃つ事が重要なサブマシンガンでは、
リアサイトのピープ穴も大きな穴が開いています。(反動で暴れまくる実銃MAC10で、狙って中たるのか?という疑問は、ひとまず置いといて)
穴を通して標的を見る事で、射手の視力にかかわらず像がくっきり見えるピンホール効果、という利点が得られるそうです。by wiki先生
(ピンホール効果に関する追記が最後にあります)
マイクロサイトの場合は、フロントサイトもリアサイトも両方とも穴の開いた形状になっています。
大小2つの穴を通して見ると、このように
真ん中に標的の黒点、その周りにフロントサイトのインサートの黒い円(後述)、更に外側にフロントサイト本体、最も外側にリアサイトのピープ孔が黒い円のように見えるので、
全ての円が同心円になるように、銃をコントロールして狙います。
マルゼンのプレシジョンサイトの解説
説明書はこれ一枚です。別に多機能なサイトでもないので充分でしょう。
内容物は説明書・リアサイト・フロントサイト・サイズ違いの付属インサートです。
リアサイトは鉄製だと思います。持った感じは結構ズッシリきます。
上下調整ダイヤルと左右調整ダイヤルがあり、カチカチとハッキリしたクリック感があります。
リアサイトのピープ孔。小っこいですね!マイクロサイトは初めてなのであまりの小ささにビビりました。直径は多分1mmくらいでしょう。
実銃の競技銃では、この穴の大きさを0.8〜1.2mm辺りで調整する事が多いそうです。マルゼンのプレシジョンサイトでは、その調整機能はありません。
周りのカバーの部分はゴム製です。
フロントサイトは樹脂製です。かなり軽いです。
2種類のインサートが付属します。工具無しで簡単に交換出来ます。
インサートは鉄製だと思います。内径は2.6mmと4.4mmです。どっちが良いのか?については後述します。
バリがあったのでピンセットで摘んだら、
以外と簡単に取れました。
見た感じは、実銃用と同じ規格に見えたので、試しに銃砲店で実銃用を買ってみました。
上段の4つが買ってきた実銃用。下段の2つがマルゼンプレシジョンサイトの付属品です。
規格は同じですね。サイズはM18です。問題なく取り付け出来ました。実銃用は内径の種類が豊富なので、微調整したい時にはこれを使います。
帰りがけに、つい下らない物を買ってしまいました。インサートトートバッグです。
これを見て「あ、インサート!」と思う人は・・・変態ですね!私同様(^^)
マルゼンのマイクロサイトの価格
マルゼンプレシジョンサイトの長所は何と言っても価格です。定価で買えれば¥6380(2021年10月価格)です。
エアガン用のマイクロサイトは私の知る限り、これしか発売されていません。これが入手出来ないと実銃用を買う事になります。(オープンサイト部門に出たい場合ですが)
因みに実銃用とは・・・
ライフルショップエニスの2021年8月版のパンフレットです。
さすが実物!という感じのお値段ですね^^;
簡単に言えば、0がひとつ多いです!特にリアサイト。
勿論、中古を探せばもっと安いでしょうが、それでもマルゼンより安いか?と言えば、かなり運が良ければ、としか言えません。
私もマルゼンプレシジョンサイトを買う前に、中古の実物を探してみましたが、マルゼンより安い物は見つかりませんでした。
比較的安い物もありましたが、かなり旧型で「これなら機能的にはマルゼンと大差ないかな」という物でした。
実銃用サイトの長所
実物の短所は値段ですが、長所は極端に言えば値段以外の全てです。
ここから先は、私の個人的な意見です。一部、銃砲店で教わった事や、近所の体育館の射撃場で撃っていた方に聞いた事、知り合いの実銃経験者に聞いた事を含みます。
実物の良さは、まずひとつに調整範囲が広い事。
どんなサイトを買うかによっても変わりますが、リアサイトのピープ孔の大きさを変えたり、眩しい所や暗い所でカラーフィルターや偏光フィルターを入れて標的を見やすく出来るような物もあります。
フロントサイトのインサートも、このような横棒タイプもあれば、十字型に切り替えたり、横にも縦にも棒が無いクリアタイプというのもあります。
APSの場合、プレートやムーバーがありますから、クリアタイプの方が見やすいかも知れませんね。
プレートの場合は
インサートのリングのサイズによっては、プレートの輪郭が見え難くなりそうだし、
標的が横移動するムーバーでは、横棒タイプは多分、棒が邪魔でしょう^^;
そして実物のもうひとつの長所は精度です。
例えば上に10クリック回して、下に10クリック回した時に、全く同じ場所に戻って来るか?
これね!スコープでもそうですが、結構値段の差が出やすい所だと思います。
ただ、これに関しては、私の場合はマルゼンでも充分かな、と思いました。
ひとつは、所詮BB弾だし実銃のようにピンポイントに集弾するような精度はありません。なら、そこまでの精度が必要かな?という事。
もうひとつは、私のウデでは、ほんの僅かに変わった所で違いが分からない、という哀しい現実(TT)
そして決定打だったのが、実射してみて不満が無かった事です。実射については後ほど。
実物サイトについては、私も色々教えていただいたライフルショップエニスの津場さんがYouTubeで解説して下さっています。是非参考にしてみて下さい。
ハイサイトブロックを付けてみた
SR96-11Sにプレシジョンサイトを直に載せると、こんな状態になります。見た目は格好良いんですが・・・
- 眼から頬骨までの距離が6センチあるデカ面の私にはサイトが低い^^;
- 銃の保持位置を下げて、左肘を骨盤に近づけたい
- 全体の重心を下げたい
- ノンホップ弾道の10m地点での弾道を水平に近づけたい
等の理由でサイトをもっと高くしたい、と思いました。
で、買ったのがこれ。
ライフルショップエニスで買った実銃用ハイサイトです。
これの長所は調整範囲の広さ!
本体の他に調整用スペーサーが各種付属します。
高さ調整は1番低くすると25.2mm。短所はこれより低くは出来ない事です。
1番高くすると47.6mm
また、横方向にも調整用ネジ穴があり、
横方向に0・5・10ミリに調整出来ます。
左に5mmオフセットするとこんな感じ。
同じくリアサイトもオフセット。
左右のオフセットの分、ヴィンテージのゼロインが必要ですが、一旦決まってしまえば、しょっちゅう変える物でもないでしょうし。
短所の低く出来ない点については、SR96の場合、銃側の調整機構も豊富なので、よっぽど顔の小さい人でもない限り、デメリットにはならないと思います。
私は重心も下げたかったので、1番高くしてみました。
感想は、首が縮こまったような窮窟感から開放され、リラックスして標的を見られるようになった感じがします。
加齢・軍拡により首が回らない私(TT)には有難いですね。
5m先はどう見える?
自宅の5mレンジにマイクロサイト用の標的を作りました。
いつもの1センチサイコロを一部黒く塗り、
背景はマイクロサイト用に白背景に。
これを狙った時の見え方の写真を撮ろうとしたんですが、スマホカメラではピントが合わず無理でした。
試行錯誤の結果、リアサイトを通さずフロントサイトだけを撮影して、辛うじてピントが合いました。
撮影用に一個だけ置いて、フロントサイトで見ると
こんな感じ。ピンボケですがスマホのカメラでは、この程度が限界でした。
レスト台の都合で立射より低い位置、及びリアサイトの横から撮ったので少し斜めに見えていますが。
撮影時のインサートの内径は4.0mmです。立射では銃が揺れるので、多少大きめの内径じゃないと黒点を見失いそうです。
小さい内径のインサートは、揺れ幅の少ない上級者向けなんでしょうね。私にはまだ無理です(TT)
次にフロンティアのAPSターゲットペーパーを5m先から見てみます。
同じく内径4mmのインサートです。5mでこの見え方なので、APS公式の10mならこの半分の大きさに見える筈です。
立射の揺れも考えるとちょうど良いくらいじゃないですかね(^^)
上手い人は、もう少しインサート内径を絞っても良いかも知れません。
5mグルーピング計測
96LEウッドvs SR96-11Sの10mグルーピング対決に先立って、とりあえずSR96-11Sのみ室内5mで実射してみました。
一応レスト台に載せましたが、台が柔らかいので僅かにグラグラします。
5mなので練習用の安い弾を使います。G&Gの0.28gプラ弾です。
同じG&Gから0.3gプラ弾も販売されていますが、5m程度なら0.28gとの差は感じません。なら、練習用は安い0.28gで良いと思います。
BB弾についてはこちらにもまとめました↓
で、撃ってみた結果がこちら。先に撃ったのが左のターゲット。
着弾がちょっと低いかな?と思ってエレベーションダイヤルを上に20クリック回した所、右のターゲットのようになりました。
プレシジョンサイトの説明書によると1クリックで10m先の着弾が0.7mm変わるとの事なので、5mで20クリックなら7mm変わる計算です。
ほぼ説明書通りですね。この精度ならエアソフトガン用のサイトとしては充分だと思います。
因みに、大きく外れてる弾は、射手のウデの影響がデカいと思います。
撃ちながら「あ!ちょっと動いちゃった」と自分で分かる程の引きブレが数回ありました(^^;;
とりあえず、これで5m練習用のゼロイン完了という事にして
この後は、立射5mでの1cmサイコロ撃ちを楽しみました。楽しくなっちゃって2〜3時間撃ってました\(^^)/
はじめてマイクロサイトで撃ってみた感想
今回、初めて自分のマイクロサイトを手に入れて撃ってみたんですが、第一印象は「APS-3より見やすい?」でした。
私のAPS-3は、どノーマルです。
こんな感じ↓の、ハンドガンとしては標準的なノッチサイト(ノッチ:凹み)が付いています。この写真、よーく見て下さい。
フロントサイトにピントが合っているのが分かりますか?・・分かった方は次の写真・・
今度はリアサイトにピントが合っているのが分かると思います。
実はこれ、人間の眼の見え方と同じです。同時に複数の距離にピントを合わせる事が出来ないんです。
だから、このようなノッチタイプのオープンサイトで、めっちゃ小さい標的を精密に狙う時は、フロントサイトにピントを合わせるように見ますが、
その場合、標的とリアサイト上端部がぼやけて見える為、「上下は、だいたいこの辺かな??」という狙い方しか出来ません。
ピープサイト(穴を覗く)の場合も同様に、鮮明に見えるのは、フロントサイトだけですが、
ノッチサイトと異なり、円の全周が同じようにぼやけて見えるので、何処が中心なのか?が分かり易いんです。
スコープのように大きく見える訳じゃないけど、中心が解れば黒点を狙う事は出来るので、標的射撃の場合は、スコープと較べてもそこまで大きなハンデは無いんじゃないかな?と思います。
スコープの場合は、パララックスや重心が高くなる等の問題もありますからね。
まとめ
「マイクロサイトが1番正確に狙える」と何処かの記事で読んだような記憶があります。
うる覚えですが、精密射撃関係者の方の記事だったような気がします。
遠距離なら、そもそもよく見えないからスコープ、というのは当然ですが、近距離の小さな黒点に中てる、という限られた条件ならスコープよりマイクロサイトの方が優れている部分もあるような気がします。
ただ、APSライフルの場合、プレートやムーバーの狙い方をどうするのか?・・・これは近い内にバトンレンジに行って試してみたいですね。
エアガンシューティングが好きでも、マイクロサイトなんて持ってない、という方も多いと思います。
私も今までは「当然スコープの方が中たるだろ?」と思っていました。でも今は「そこまで変わるかな?」という印象です。
よく見えるか?だけならスコープは優れていますが、それ以外の要素もあるからです。特に立射では。
何より「オリンピック選手って、こんな事やってんのか」という擬似体験も出来ますし。これが1番テンション上がるかも知れませんね!
私が20Sでなく11Sを買った1番の理由でもあります(^^)
オリンピックの動画をBGMに黒点を狙っていると・・・大歓声が聞こえてきそうな・・・妄想が止まりません^^;
次回、その3では、もう少しSR96-11Sの調整をするか、96LEウッドとの10m実射対決をするか、迷ってます。
では今回はこの辺で。
後日追記(ピンホール効果)
前述したピンホール効果の話です。
10m実射対決の後、室内5mレンジで1センチの黒サイコロを撃っていた時の事です。
撃ち始めて暫くしてから、「あ!そうだ、眼鏡忘れた・・・ん?何で見えてたんだ?」
私は近眼なので、眼鏡が無いと5m先の1センチのターゲットなんて到底見えません。
それをうっかり眼鏡を忘れて撃っていたんです。
アイウェアを忘れた、というミスもそうなんですが、眼鏡無しでもちゃんとターゲットが見えていた・・・もしかして、これがピンホール効果か⁉︎と思いました。
しかも、ボンヤリ見えるとかじゃなくて、ちゃんと狙えば中たる程度にはハッキリ見えていました。
スコープじゃあるまいし、そこまで効果無いだろ?と半信半疑だったんですが、これ程とは知りませんでした。
穴を通して見る事で視力に関わらず像が鮮明に見えるピンホール効果・・・理屈は分かりませんが、確かにその通りでした。馬鹿に出来ませんね^^;
後日追記2(プライン)
2〜3ヶ月経ってそこそこ慣れて来た頃に、ライフルショップエニスで、こんな物を買って来ました。
プラスチックのインサートです。M18サイズの内径2.8mmを買いました。800円だったかな。
ホントはプレシジョンサイトの付属品と同じ2.6mmが欲しかったんですが、在庫がありませんでした。
ここ最近、練習で使っていた内径3mmのスチールインサートと並べるとこんな感じ。
横から見ると、スチールインサートより厚みがあります。
外周は段付になっていてフロントサイトの内側の段差に引っ掛かるような構造です。
中心の穴が円錐状になっていて、横からみると台形に見えます。この斜めの部分が影になって黒い円に見えるんですね。
付けてみるとこんな感じ。何の改造も調整も無しで、そのまま付きます。中心の穴だけが素通しで、その周りは透明なプラスチックです。
5mですみませんが、APSターゲットを狙ってみました。
ピンぼけ&黒い輪っかに見えないのは、スマホカメラの性能と撮影技術のせいです。眼で見ればちゃんと綺麗に見えました。
撃ってみた感想は、標的の周りが良く見えるので、予想以上に撃ち易かったです。これはお勧め出来ます。
感覚的には、赤い点が黒い輪になったドットサイトみたいな感じですかね。
APSの場合、特にムーバー!横から標的が移動して来るのに、横に支え棒があるとかなり邪魔でしょうから、APSライフルにこそプラインが必要だと思います。
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