概要
今回はAPS自宅練習機材、ブラックホールRのレビューです。フロンティアでいろいろ買った時に購入した物のひとつです。
こんな感じ↓にターゲットペーパーをセットして標的射撃をする為の弾回収型ターゲット台座です。
最大の特徴は「自宅で撃った時に弾が散らからない」というのがセールスポイントです。
上の写真のブラックホールの周りに散らばってる弾は金属標的を撃った時の破片です。
弾が回収出来ないターゲットを使うとこうなります。床にもいっぱい落ちてます。裸足で踏むと不快な痛みで「あ゛うっっ‼︎」となります。自分が踏むならまだしも家族が踏んだら・・・
このブラックホールRは本大会198点の記録を持つリスキー加藤さんの会社で作っている製品です。
多忙な中、我々APS愛好者に射撃技術を教える為にはるばる東京まで来てくれたリスキーさんの気持ちに応えたいという気持ちもありますが、
リスキーさんがAPSラジオで何度も話されている事のひとつに「銃に金かける前に練習環境に金かけろ」というのがあります。
私の自宅レンジは6m以下なら弾が散らかっても構わない室内ですが、7〜10mは敷地内とはいえ屋外です。
屋外で撃つ度に掃除していたんですが、掃除が面倒臭いので弾を回収してくれる台座を買おうかな、と検討していたところでした。
ライバル商品
似たようなコンセプトの商品に、あきゅらぼのホームトレーナーシリーズがあります。↓
ホームトレーナーは買っていませんが、あきゅらぼ主催の亀有ピストル練習会で使わせてもらいました。
こちらもBB弾をしっかり回収してくれる良い製品です。
あきゅらぼでは同じブラックホールなんですが組み立てに金属シャフトを使わないブラックホールIという商品を販売しています。↓
ブラックホールIは使った事が無いので使用感は分かりません。
その他マルイの粘着型ターゲットや紙に穴を開けるタイプ等もありますが、着弾位置が正確に確認できないため精密射撃には不向きです。
自宅で撃つ為の弾回収型ターゲットとしてはブラックホールかホームトレーナーの2択でしょう。
開封、組み立て
フロンティアで¥5800でした。組み立ては説明書通りにやれば、さほど難しい工程はありませんがひとつ注意点があるので後述します。
パーツに保護フィルムが貼ってあります。もしかしたら保護フィルムがあった方が破損予防になるんじゃないか?と思って剥がさずに組み立ててみました。
組み立てで少し迷ったのが最後に側板を嵌め込む工程でした。これが先程の注意点です。詳しくは後述します。
弾が当たる板の耐久性を考えてフロンティアのポリカ板が嵌まらないかな?と思ったんですが、
ポリカ板が3〜4ミリ程長くて嵌りませんでした。ターゲットペーパーよりポリカ板の方が少し長いので3〜4ミリなら切っちゃっても良いかもしれません。
追記・リスキーさんの会社から補修パーツが販売されていました。破損しても修理可能です。
とりあえずそのままターゲットペーパーを置いてみました。
射撃後は下から抜く事も出来るようです。
使用説明書には130センチの台にブラックホールを載せれば公式試合の140センチ位になると書いてあります。
入射角
弾がちゃんと回収されるか?は弾が板に当たる角度が重要だと思います。その角度を計算してみます。
179センチの私が5m先に置いた床から140センチの高さのターゲットを狙うと、ノーマルAPS-3の銃口の床からの高さはだいたい155センチ位でした。
高低差は約15センチ、立射姿勢での腕の長さを考慮すると銃口からターゲットの距離は約4.5mです。
0.2g弾の初速が86m/s前後のノーマルAPS-3 ORの場合、0.28g弾なら弾道の放物線のピークは6〜7m地点なので、弾道の落下は無視して三角関数のタンジェントシータを計算すると入射角は約1.9度です。
私は別に数学の得意な高校生ではありませんから、三角関数の計算にはこのサイトを利用しました。↓
黒点の高さが床から140センチ、射座までの距離が5mになるようにブラックホールを置きました。
試射
ではAPS-3で試射してみます。
弾は赤羽公式でも使ったBLS0.28gプラ弾です。後述する191点の時もBLSを使いました。G&G0.28gプラ弾と比べると精度は大差なく安価です。Amazonで見てみる↓
せっかくなのでカスタム前のノーマルのシアーをグリスアップしただけの今の状態で、どんな点数が出るのか?ブルズアイマッチ200を撃ってみます。
結果は183-4xでした。赤羽公式の記事でお話したレンタル銃では191点でしたから8点負けました。
それでもグリスアップ前よりは上がってますけどね。グリスアップの記事はこちら↓
赤羽公式の記事はこちら↓
弾の回収率は?
ブルズアイマッチ200を撃った後・・・
ブラックホールの底部に弾が20個入ってました。まだ20発撃っただけですが回収率は100%です!
弾が落下を始める前に着弾する5mブルズアイなら回収率の心配は要らないと思います。
問題は落下弾道となる8〜10mの回収率ですね。入射角がかなり変わるはずなので。これは後日検証します。
組み立てのコツ
ターゲットペーパーを取ってみると保護フィルムがボロボロになっていました。ただのビニールですからね。
このままだと複写式ペーパーターゲットの弾痕が綺麗に転写されないと困るので、やっぱり保護フィルムは剥がしましょう。一旦バラします。
自分で組み立てたのでバラすのは簡単です。1分も掛かりませんでした。
せっかくバラしたので組み易さの要となるシャフトの長さを測っておきました。
93ミリ位ですかね。締める時に少し共周りするので94ミリ位にしておいた方が組み易いかも知れません。
前述した注意点、最後の側板を嵌める工程がこれです。
全ての出っ張りと切り欠きを同時に合わせたままネジを閉める必要があるので、最初に組んだ時はちょっと手こずりました。
ひとつの板を位置合わせしてる間に他の板がズレちゃうからです。
時間を掛ければ誰でも出来ると思いますが、迷った挙句に私がやった方法を書きます。
この写真↑の状態は4つあるネジの3つ目を途中まで締めたところです。裏側の2つのネジは説明書通りに最初の工程で締めてあります。
3つ目のネジを途中まで締めながら出っ張りと切り欠きの位置を微調整して、また少し締めて微調整して・・・
これを繰り返せば、ゆっくりだけど確実に組み上げる事が出来ると思います。
ネジを途中まで締める事により側板が内部の跳ね返り板の位置を固定してくれるので、板がズレちゃう事が無くなるからです。
ネジを締めた後はかなりガッシリします。落とした程度ではビクともしません。
ネジは締め過ぎない方が良いです。単純な構造なので緩んだら締め直しましょう。
回収しにくい条件で実射
ここから、どうやって弾を回収しているのか?という話です。
ブラックホールの内部の跳ね返り板を見て下さい。
ターゲットに当たった弾は跳ね返りながら上に飛ばされて金属シャフトの真下にある斜めの板に当たりターゲットの後方に入ります。
最初にターゲットに当たる時にどんな角度で当たるか?によって跳ね返る方向が変わります。
極端に言えば、弾がターゲットペーパーの跳ね返り板に対して直角に当たればそのまま真っ直ぐ跳ね返る筈です。(理論上は)
跳ね返り板は斜めになっているので、直角に近い角度で当たるとしたらどんな時かと言うと・・・
- 超重量弾による落下弾道
- 身長がめっちゃ高い
- ターゲットの下端に当たった
- 近くから撃った
- ターゲット設置位置が低過ぎる
- ブラックホール自体が前下がりに設置されている
- 初速が低過ぎて落下弾道
- 10mなので落下弾道
等の要因により入射角が大きくなれば回収され難くなるんじゃないかな?・・・と思いました。
入射角が何度までなら回収出来るのか?を試してみます。とりあえず6mの室内レンジで試せる項目だけでもやってみましょう。
超重量弾&距離変化
まずは超重量弾だとどうなるのか?
BLSの0.48gプラ弾です。APSで使える弾としては最重量です。Amazonで見てみる↓
この弾は私がAPSライフル公式で愛用している弾です。
APSライフル競技の10mだと空気を切り裂いて真っ直ぐ進む慣性力が強い重量弾じゃないと空気の壁に負けてグルーピングが広がります。
50mシューティングの頃、少しでも重い弾を使う為にVSR-10加速シリンダーを作ったのも同じ理屈です。
海外の超長距離射撃で50口径対物ライフルが使われるのも同じ理由だと思います。
超重量弾は必ず落下弾道になるので初速変化が大きい銃の場合、グルーピングがやや縦長になりますが、上下左右に大きく散る軽量弾よりマシだと思います。
縦長を少しでも抑えたい・・・私がライフルのチャンバー部の気密に拘る理由です。
チャンバー構造やパッキンの質によって初速を抑えた方がよく中たる事があります。それも「高圧になった気密を保持出来るか?」と関係があると思っています。
縦長なら許容するもうひとつの理由はハンドガンもライフルも点数の要がプレートだからです。プレートターゲットは縦長ですから。
ハンドガンのリスキーさんもライフルのA◯さんも高得点を狙うならプレートが重要だと話されています。
このレベルの人達は「ブルズなんかどうせ中たるから」と言う意味かも知れませんが^^;
私のような下手糞はまずブルズが上手くならないと話になりません(TT)
話を戻して0.48g弾をノーマルのAPS-3で撃ちます。この検証にはSR96よりAPS-3の方が適していると思います。
私のSR96は5mでも10mでも練習できるように5mのnear zeroと10mのfar zeroに合わせて照準線と銃身線の角度と高低差を付けてあるからです。
ノーマルのAPS-3の方が意図的な入射角を作り易いと思いました。
5mで撃とうと思っていたんですが、せっかくなので距離も変えてみました。
プレートやシルエットで撃つ6mと自宅練習の参考になるように3mです。黒点の高さは公式と同じ140センチです。これを0.48gで立射で撃ちます。
0.48gなら6mでも落下弾道になるし、3mなら入射角が増えるので検証条件としては問題無いはずです。
その条件でAPS-3で撃った結果は・・・
3mから5発、6mから5発撃ちました。
まず肝心な回収ですが、ブラックホールの中に10発入っていました。回収率100%です。
着弾は6mが少し散ってますが、点取り目的では無いので真面目に狙わなかったのが原因です。それでも3mは全弾X圏内ですね。
ターゲットの位置が低い場合
では次に、ターゲットが低い位置にあったら?を試してみます。
床から1mの高さに黒点が来るように置いてみました。
APS競技で銃と標的の高低差が最も大きくなるのはハンドガンプレート下段の床から1.2mです。それより低くしてみました。入射角はかなり大きくなる筈です。
弾はさっきのブルズアイ200と同じBLSの0.28gプラ弾です。
結果は・・・
10発撃った全弾が回収されていました。この程度では余裕で許容範囲なようです。
どこまで入射角を大きくすれば回収出来なくなるんでしょう?・・・ちょっとずつやってても埒が開かないので一気に・・・
ブラックホールを床に置いてみた
ブラックホールを床に置きました。別に点取りじゃないし、ある程度狙いが付けられれば良いのでターゲットペーパーは使用済みのやつです。
床に置いた状態で5mで立射すると、さすがに全く回収出来ませんでした。弾が真っ直ぐ跳ね返って全弾が外に飛び出して来ました。
ブラックホールの底面から黒点の高さは約7センチです。
先程と同じ方法で入射角を計算すると、弾道はブラックホールの正面に対して約18度の角度が付いています。(この状態での銃口高さは測ってないのでかなり大雑把です)
さすがに18度位になると無理だという事が分かったので限界値を調べます。
弾を回収できる限界は12度!
ブラックホールは床に置いたまま、膝撃ちしたり中腰になったり、銃の高さを変えながら撃ちまくりました。
その結果、ちゃんと回収できる高さと全く回収できない高さの境目で・・・
こんなふうにターゲットペーパーの前側の隙間に弾が溜まりました。ここが回収可能な限界のようです。
その時の銃の高さは・・・
床からバレルまでの高さが約1mでした。
この時の標的から射撃線までは5m。腕の長さを引いて銃口から標的までは約4.5m、ターゲットペーパーの黒丸は床から約7センチなので、黒丸と銃の高低差は約93センチです。
さっきと同じように計算してみると・・・入射角は約11.7度です。大雑把に12度位って感じですかね。
まとめ
という訳で、ターゲットと銃の高低差を93センチまで広げてやっと回収限界に辿り着きました。
10mで重量弾を撃った時に落下弾道になってもせいぜい数センチ落ちる程度です。
近い内にライフルで10mを撃った時にもブラックホールを使って確認する予定ですが、この分なら恐らく大丈夫でしょう。
ブラックホールはブルズアイだけでなく、フロンティアのプレート型ペーパーターゲットのような紙の標的が使える全種目の練習に対応可能と言って良さそうです。
シルエットの練習の場合はAPS非公式サイトにあるターゲットをダウンロードして、
カーボン紙(複写可能なインクの付いた紙)と重ね合わせれば複写式シルエットターゲットを作れると思います。
APS非公式サイトのダウンロードターゲット↓
カーボン紙をAmazonで見てみる↓
ライフルのプレートも上記のハンドガンプレートターゲットを縮小コピーすれば作れそうですね。
ムーバーだけは無理ですね・・・プラレールの線路をエンドレスに組んで貨車の上にターゲットを載せてる動画を見た事がありますが(^^;;
自宅でも比較的容易に練習可能な所がAPSの最大のメリットだと思います。弾を回収してくれるという発想がユーザー目線に立った素晴らしい商品だと思います。そこが一番気に入っています。
APS関連商品なんて商売としては殆ど儲けにならない筈です。下手すりゃ赤字でしょう。それでもAPS商品を作り続けてくれる全ての関係者の方に感謝しています。
では今回はこの辺で(^^)/~~~
使用方法追記
後から気付いたんですが、リスキーさん自ら使用方法を解説して下さっている動画がありました。磁石を使うんですね!↓
今回検証したブラックホールRをAmazonで見てみる↓
後日追記
リスキーさんの解説にあったネオジューム磁石を買いました。
ネオジュームという磁石は数ある磁石の中で磁力最強だそうです。使ってみたらビックリでした。
家にあった普通の磁石とは磁力が桁違いです!これはお勧め出来ます。ターゲットペーパーがズレる事は無くなりました。
ネオジューム磁石をAmazonで見てみる↓
ブラックホールのあきゅらぼバージョン。ブラックホールIをAmazonで見てみる↓
あきゅらぼのホームトレーナーをAmazonで見てみる↓
今回使用したBLSの0.48gプラ弾をAmazonで見てみる↓
今回使用したBLSの0.28gプラ弾をAmazonで見てみる↓
マルゼンAPS-3をAmazonで見てみる↓
マルゼンSR-2をAmazonで見てみる↓
自宅でAPS練習をする為のグッズ紹介記事はこちら↓
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