概要
今回はマルゼンtype96.LE2021ウッドストックの命中精度向上計画のその2実践編です。
今回は主にシリンダー周りをイジリますが、なぜこんな事をするのか?という理由については、命中精度向上計画その1をご覧下さい。
ピストンヘッドの気密を上げる
まずは、シリンダーをバラします。
説明書通りにシリンダーストッパーを下げます。硬い場合は、ボルトハンドルを動かしながら下げると良いです。
チークピースを外してピストンを抜きます。
ここで、ピストンの気密を確認します。棒状の物でピストンを押し下げてピストンスプリングを縮めます。
次にノズル先端を指で抑えてから、棒を放します。
この時、ノーマルの場合は、ピストンがストンと勢いよく前進してしまいました。
恐らく、ピストンヘッドのパッキンとシリンダー内壁の隙間から空気が漏れています。
エンジンで例えば、ピストンリングの摩耗による圧縮スカスカ状態ですね。
シリンダーヘッドのネジ部から空気が漏れる事もありますが、その場合、漏れる空気量が少ないので、ピストンがストンと落ちる事はなく、ゆっくり前身します。
どうやらピストンとシリンダーのクリアランスを調整して気密を上げる必要があるようです。そこでこんな物を買いました。
商品名は、[ MODIFY ] APS-2 / Type-96 ピストンヘッド、だそうです。Amazonで見てみる↓
ピストンヘッドに取り付けるパッキンです。このモディファイというメーカー・・・
VSR-10プロチューナーのtascoTitanさんから教えてもらった高性能BB弾を作っている会社です。
私の知る範囲内では、精度はこの弾が1番です。
こんな弾を作る会社なら信用出来るんじゃないかな?と思って買ってみました。早速取り付けます。
シリンダーヘッドを開けます。
使った工具は蔵前工房舎のシリンダーオープナーです。
調整式なので他の銃にも使えそうです。
VSR-10と違い、封印等はありませんから簡単にバラせます。
バラすとこんな感じ。まぁ、普通の構造です。
VSR-10は、パワーアップ防止の為に、封印にプラスして、シリンダーのネジ山の高さを半分にしたりしてますが、そのせいでシリンダーの寿命が短い銃になってしまっています。
マルゼンの銃はそんな事は無さそうです。パーツ寿命が長いのはユーザー目線で考えてくれてる気がして有難いです。
シリンダー内径は約19.8ミリ位。VSR-10よりかなり細いです。
VSR-10のお約束のシリンダー切り欠き部の巨大なバリは無いけど、少し角が立ってるような・・・後で面取りでもしますか。
ピストンヘッドのパッキンを比べてみると、ノーマルよりモディファイの方が直径が大きいですね。
パッキンはピストンに嵌め込んであるだけです。指でグリグリやれば取れます。
ちょっと力が要るので、取れにくい時はマイナスドライバーで傷付けないように注意しながら取ります。
ノーマルとモディファイを指でプニプニしてみると、モディファイの方が柔らかいのが分かります。
取り付けは嵌め込むだけです。
セラグリスを薄く塗って組み付けます。塗るのは外周部分だけです。ノズル方向にグリスを飛ばす訳にはいきません。
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シリンダー内壁にもグリス塗りますが、こんなんで良いの⁉︎ってくらい薄く塗るのがポイントです。
被膜が出来ればそれで充分なので、多過ぎるグリスは抵抗になったり、埃を吸い寄せるだけです。
(後日追記:セラグリスはピストンに使う場合、シリコングリス等より頻繁に塗り直した方が良さそうです。私は毎日撃つので、1〜2ヶ月で初速が落ちてきます。粘度が低いんでしょうね。裏を返せば抵抗が少ないんですが・・・。次回OH時は他のグリスを試してみます)
(追記2:シリコングリスだと皮膜が厚くて抵抗になり気温によっては初速が不安定になる事がありました。一長一短ですね。こうなるとセラグリスも捨てがたいです)
これで組むんですが、その前に・・・
ピストンの動きをスムーズに
さっき内側から見たシリンダー切り欠き部。大きなバリは無いけど・・・
VSR-10プロチューナーtascoTitanさんに教わったバリ確認方法です。綿棒で内側の角を擦ってみると、僅かに引っ掛かる箇所が数ヶ所ありました。
綿棒をAmazonで見てみる↓
棒にペーパーを巻いてバリを落とします。
再確認。かなりスベスベになったと思います。
同様にピストンとスプリングガイドの摺動部もペーパーでスベスベにします。
爪が引っ掛からない程度にはなったかな。
こういうのは「ほどほど」で止めときましょう。完璧を目指したくなるのも人情ですが、私は何度もドツボりました。
ピストンスプリング強化
スペーサーをかませるだけです。みんなやってる簡単な内容なので、数値をメインに解説します。
ピストンの内径は約10.8mmでした。
スプリングガイドの外径は約7.3mmなので、
ホームセンターで外径10mm内径8mmのアルミ丸パイプを買って来て、
約31.8mmにちょん切りました。
実は最初、34mmに切ったんですが、長過ぎてシアが掛かりませんでした。おそらく、32mm位が限界だと思います。
これも薄くグリスを塗って、さっきのピストンと一緒にシリンダーに組みます。
そして、さっきの要領で気密チェックしてみると、
この位置でピストンが止まりました。
さっきのノーマル状態と比べると、ピストンが後退位置で止まってるのが分かりますか?
1分程待ってみましたが、エア漏れは全くありませんでした。
ノズルを蓋している指をゆっくり離すと、ノズルからプシュッと勢いよくエアが出て来ました。
とりあえず、ピストンの気密に関しては、これでオッケーでしょ(^^)
ボルトハンドルの交換
続いてボルトハンドルを交換します。
蔵前工房舎のボルトハンドルを買いました。ハンドル部分だけがスポッと取れるので、ガンケースに入れ易くなります。
特に96LEは・・
こんなふうに、チークピースを外さないとシリンダーが抜けないので、ノーマルの96よりシリンダーを抜くのが面倒臭いんです。
因みに、蔵前工房舎のハンドルは、ノーマル96の初期ロットには付かない、という注意書きがありました。
左のデカいのがノーマル。蔵前のハンドルには、長短2つのハンドルバーが付いてます。
組んでみたら、ボルトハンドル基部とシリンダー後端部の間に隙間がありました。ノギスで調べてみると・・・
ボルトハンドル基部の上に付いている小さな突起がノーマルよりも0.3ミリ長かったです。
本来ならその突起を削れば良いんですが、それに気付く前にこんな物を作ってしまいました。
事務用品のクリアファイルを、外径22ミリ、内径12ミリのドーナツ状に切った即席ワッシャーです。これの厚さは1枚0.15ミリなので、
シリンダーとボルトハンドルの間に、
2枚挟みました。
ここまで面倒臭い事をする理由は、
シリンダーノズルをちょうど良い位置までしっかり前進させないと、シアが掛からずトリガーが引けないからです。
また、弾の保持位置をホップ突起に近づける、という意味合いもある筈です。
だって、弾がホップ突起に触れた状態からスタートするか、動き出してからホップ突起を通過するか、が変わる訳ですからね。ホップ回転数が変わる筈です。
当然、その時に、弾を後ろから押す空気の圧力も変わる筈です。
また、ノズルがホップパッキンに刺さり込む深さも変わるので、気密にも影響があるでしょうし。
VSR-10加速シリンダーの時は、これだけで強ホップ時の初速が10m/s近く変わりました。
今回はVSR-10とは違い、たかだか0.3ミリなので影響は少ないかも知れませんが、精密射撃銃なので念の為です。
弾速測定
とりあえず、これで組んで弾速を測定しました。弾が0.48gなので、分かりやすいようにj(ジュール)を基準に話します。
とりあえず10発撃って、最高値が0.919jでした。因みに最低値は0.886jの60.77m/sでした。
0.9jが出たので初速は速くなりましたが、初速変動幅がもう少し小さくなって欲しいですね。
そこで、試しにグリスを変えてみました。
セラグリスから変えたのは、
どこでも売ってる安物グリスですが、VSR-10の加速シリンダーに使って、最高記録が出た時に使用したのが、この安物グリスでした。
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セラグリスと比べると、ベタベタしてて抵抗は大きそうなグリスですが、その分、気密は良いのかも知れません。
これを塗って弾速を測りました。
10発の最高値は0.842jでした。やっぱり抵抗は大きいですね。ただし、最低値は、0.816jの58.32m/sでした。
ほんの少しだけど、初速変動幅が小さくなりました。
まぁ、10発しか測っていないので、この結果だけで、どちらのグリスが優れているか、なんて断言出来ませんが、セラグリスは柔らか過ぎて、良いコンディションを維持する為には頻繁なメンテが必要です。
面倒臭がりの私は、とりあえず、これで暫く練習します。
この仕様は便宜上0.8j仕様と呼ぶ事にします。
考察
あくまで、ここまで試した結果とVSR-10での経験から想像した仮説ですが、単純な初速に関しては、気密に問題が無ければ低粘度グリスの方が速いです。
ただ、長期的な初速変動幅、又は初速安定性については、現時点では、長期間でもしっかりと気密が取れる高粘度グリスの方が良いような気がします。
もっとも、グリスの性能、特に抵抗なんて塗り方次第で大きく変わるというのも経験済みなので、どれだけ薄く均一に必要な所だけに塗れるか?が大事なんでしょうね。
室内5m立射
いつもの室内5mレンジで1センチのサイコロを撃ってみました。
当初の目的だった「立射での中てやすさ」は向上していました。0.8j仕様をノーマルの0.6j仕様と比べると「今のは、狙点バッチリだったのに!フライヤーか?」というのが殆どありません。
ただし・・・
私のようなド素人の「狙点バッチリ」なんて甚だ怪しいものです。
上級者のように銃をピタッと止められる訳じゃないので、写真のように狙点が合った時に引いているつもりでも、弾が銃口から出るまでの僅かな間にも、手は揺れてる筈です。
つまり初速が上がった事により、手の揺れが大きくなる前に発射されてるんだろうな、という推測です。
なら、セラグリスの0.9jならもっと中たるんじゃないの?・・と思った方・・その通りです!
グリスを塗り直す前に、0.9j仕様でも5m立射を試しました。
ド素人の感覚的な検証で申し訳ありませんが、私の印象では、0.9jは0.8jより更に中たります。僅かな差ですけどね。
ただ、私のようなレベルでは、機械的な僅かな差よりヒューマンエラーの方が100倍大きいので、「そこそこ中たる耐久性の高い銃」でフラフラになるまで練習した方が、立射での点数は上がるだろう、と思った次第です。
まとめ
とりあえず、シリンダー周りは、こんなトコですかね。後はチャンバー・ホップパッキン・インナーバレルが残ってますが、
その前に一度、この0.8j仕様で10m実射テストをしてみたいと思っています。
その時はレスト射撃でのグルーピングを測ります。
今回は「手ブレ補正の為の初速向上」がテーマでしたが、精度オタクとしては、やっぱり銃自体の精度は気になりますからね(^^)
では今回はこの辺で。
後日追記
SR96-11Sとの10m実射対決後、マガジンが抜けなくなるトラブルが発生しました。原因は単なるマガジンキャッチ固定ビスの緩みでした。
もし、マガジンがスムーズに抜けなくなって来たら、ストックを外してマガジンキャッチがグラグラしていないか?確認する事をお勧めします。
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