APSライフル3種目のひとつ。ムーバーの独特の楽しさとは?

APS:精密射撃

概要

先日、公式練習会の数日前にバトンレンジに行った際、初めてムーバーを撃ちました。

今回はAPSライフルの競技種目のひとつ、ムーバーに関する話です。

私自身が「動く標的なんてどうやって中てるんだろう?」と不安だったように「ムーバーなんて撃った事ないよ」という方の参考になれば幸いです。

実銃の場合

実銃の散弾銃のシューティングでも似たような競技があります。

私の知る範囲では、イノシシをスラッグ弾で撃つ事を想定したランニングターゲット、ウサギを散弾で撃つ事を想定したラビット、等があります。

ランニングターゲットについては、バトンのYouTubeチャンネルにも動画があるようです。↓

【スラッグ弾】で50mランニングターゲットを撃ってみた!
日本クレー射撃協会の『ランニングターゲット』という移動標的の競技があります。10mと50mがあり、10mはエアライフル、50mは装薬銃で撃ちます。静岡県『富士国際岩本山総合射撃場』で開催された50m(RT50)の練習会に Remington VERSA MAX(レミントン バーサマックス)というセミオートショット...

ラビットについては、こちらの動画が比較的分かりやすいかと思います。↓

クレー射撃 跳ねるクレーを撃て ラビット射撃 #30
クレー射撃 トラップ 解説 目線カメラでスロー映像つき はコチラ今回は ラビット射撃です地面を転がるクレーを撃つ ラビット射撃SNSはこちら Twitter facebook. http...

イノシシの背骨から取り出したスラッグ弾です。近所の狩猟大好きおじさんに貰いました。おじさんもランニングターゲットは好きらしいです。

さすがスラッグ弾、ズッシリと重いです。凹んでいる所が背骨に当たった部分だそうです。

APSのムーバーとは?

JASG公式の説明では、このように書いてあります。要は左右に動く標的に当てる、ゲーム要素の強い種目ですね。

10mを5秒で動くと書いてあるので標的の移動速度は、秒速20センチです。この数値は後で使います。

標的はこんな形です。幅が60ミリ、高さが35ミリの大きさです。これがモーターで動きます。

これを実際に狙った時の見え方が・・

だいたいこんな感じです。

私の銃の弾速

前回の記事にも書きましたが、私のマルゼンSR-2は、体型に合わせて外装に手を加えただけで、中身はノーマルです。

バトンレンジからの帰宅後ですが初速を測りました。使った弾は・・

公式本大会でも使う予定のBLSの0.48gプラ弾、選別無しです。これを10発撃ちました。

10発中の最高値が59.02m/s

最低値が57.81m/sでした。他の8発は全て58m台でした。

初速反動幅が1m/s以上ありますが、まぁ、こんなもんでしょ。VSRと違って、たまにしかオーバーホール出来ないし。次回はオーバーホール直後に計測したいですね。

いつ撃つか?を計算してみる

上記の初速から、発射後に空気抵抗で多少減速する事も考えて、10m飛翔する間の平均弾速をだいたい58m/sくらいと仮定します。(かなり大雑把ですいません(^^;)

弾が10m先に到達する所要時間は約0.17秒後です。

標的の移動速度は秒速20センチなので、0.17秒の間に標的は約3.5センチ動きます。

つまり、3.5センチ、横を狙えば良い、と言う事です。人間の反応速度の遅さを計算に入れない場合ですが、これは後述します。

スコープのミルドットで狙う

私のスコープにはミルドット(十字線上の点々)が付いています。

ミルとは、1/1000の事です。パーセントとかパーミルとか言いますよね。

スコープのミルドットレティクルの場合、倍率6倍の際に1/1000になるように設計されています。

つまり倍率6倍にしたスコープを覗くとミルドットの点と点の間は、10m先を見た場合なら1センチです。

もし、ミルドット付のスコープを6倍で使っている場合は、狙い方も簡単です。ドット3つめと4つめの中間を見ながら標的を狙えば、3.5センチ横に当たる計算です。

私の場合、12倍で使うのが好きなので、ドット7個分という事になります。

私のスコープはドットが4つ(十字線の切れ目も使えば5つ)しかないので、切れ目の少し後ろを標的に合わせるようにすると当たる筈?という事です。

ムーバーの時だけ6倍にした方が見やすいかも知れませんが、それはそれで6倍で狙う練習が必要かも知れません。

ところで・・・先程、人間の反応速度が遅い、という話をチョロっとしました。が、あまりに不確定要素が多いので計算に入れませんでした。

何か本格的なスポーツの経験がある人は心当たりがあると思いますが、人間の身体能力(反応速度)は、訓練・経験・年齢、によってかなり大きく変わります。

これを計算するのは無理なので、敢えて省きました。

マック堺さんとかなら、反応速度の計算の必要は無いかも知れませんね(^^)

計算方法まとめ

  • 初速を測る
  • その初速で10m先に届く時間を計算
  • その時間で秒速20センチの標的が何センチ動くか計算
  • もしミルドット付スコープがある場合、6倍時に1ドット1センチと覚える
  • 自分が使う倍率に換算してドット何個分横を狙えば良いのか計算する

とまぁこんな感じでしょうか、大雑把には。これ以上正確に狙うには、実際に撃ってみて、としか言えません。

待ち撃ち・追い撃ち、とは?

待ち撃ち、と言うのは、銃をなるべくピタッと止めておいて、標的が近付いて来るのをじっと待ってから撃つ、という撃ち方の事です。

対して、追い撃ちとは、動く標的の後ろから追いかけるように銃を横方向にスイングさせて、追い抜いた時に撃つ、という撃ち方です。スイング射法とも言うようです。

クレー射撃では、基本的には追い撃ちをよく使います。

追い撃ちには、色々と種類があるようで、

  • 標的より速く銃を動かして追い抜きざまに撃つ方法
  • 標的より遅く動かして、追い抜かれる直前に撃つ方法
  • 標的とほぼ同じ速度で銃をやや先行して動かして撃つタイミングを取りやすくする方法

等があるようです。

後日追記(後日、クレー射撃の本で勉強しました)

  • スイング射法:標的より照星を速く動かして追い抜いた時に撃つ。追い抜いた後、どの程度のリードが必要か、慣れが必要。
  • リード射法:予め、標的より前を狙ったリードを取っておき、照星を標的と同じ速度で動かして撃つ。標的の前方を狙い続けるので、標的の軌道が予測可能な必要がある。
  • スロー射法:照星を一旦標的に合わせ、そこから少しリードを取って撃つ。標的に合わせてからリードを取るので、標的を見失ない難く、比較的熟練を要しない。

これはクレー射撃や鳥猟を対象とした解説だと思います。

後日、再度実射してみたところ、APSのムーバーは単なる定速横移動なので、リード射法が中てやすかったです。

ただ、中たった時にクレー射撃気分を味わえて興奮するのはスイング射法でした。難しいですけどね^^;

トップ選手に教わった事コーナー

ここで前前回の記事↓

マルゼンAPSライフルSR-2の集弾性確認。2021APSライフル公式練習会の事前練習編。
概要今回は、APSライフルの公式練習会がバトンレンジで行われる事になったので、事前に銃の精度、主にグルーピングを確認したよ、という記事です。前回の10mグルーピング計測記事はこちら↓銃の現状前回、グルーピング測定後にマルゼンでオーバーホール...

に書いたトップ選手iさんから教わったコツを紹介します。

銃が止まらない場合は、上から下に銃を下ろして来る(筋力で下ろすのではなく脱力によって落とす)。

もしくは移動標的なら、横方向に動かせば、無理に止めようとするより結果的に揺れが減る。

つまり、敢えて銃を動かす事により、揺れ易い方向の揺れを抑える。

と、教わりました。iさん、ありがとうございました。

教わった事を試してみた

これを聞いて早速やってみました。

これが左右に動いているとイメージして下さい。

待ち撃ちの場合、据銃して待っていると、ちょうど良い位置に標的が来た時に、トリガーを引こうとすると銃が大きく揺れる事が多々ありました。

おそらく「今だっ!」と思って力んでしまったのでしょう。

そこで追い撃ちをやってみると・・・なるほど・・・待ち撃ちの時より「今だ!」のタイミングが長時間取れるので、トリガーをゆっくり引いても間に合います。

ゆっくり引けば引きブレも減るってもんです。

因みに同じ追い撃ちでも、銃を標的より速く動かすか?遅く動かすか?によって狙点が変わりました。

速い場合は横に2個目のドット、遅い場合は4個目のドットで狙うと良く中たりました。

遅く動かす方法は、クレー射撃のスキートで使う事がある、と聞いた事があります。私の場合、遅い方が良く中たりました。

少し中たるようになって気付いた事は、クレー射撃の基本と同じでした。

銃をスイングさせるのは腕の力ではなく、ピタッと頬付けしたまま体幹ごと捻る事によってスイングしないと中らない、という事でした。

因みにiさんやaさん等のトップ選手の人達は待ち撃ちをする事が多いそうです。(このお二人に関しては、ご本人から直接聞きました)

私のような下手糞は、どうせ揺れるんだから最初からスイングしちゃった方が、ゆっくりタイミングを取れるという事でしょう(TT)

下手くそ故の副産物

という訳で、この後しばらく追い撃ちの練習をしていたんですが、練習という感覚はありませんでした。

面白かったから!!です。

スイングしながら、標的を狙う・・中たると標的が倒れる!

それって・・・まるで狩猟じゃないですか!?

中たると標的が倒れたり吹っ飛んだりするとメッチャ楽しい!

自宅練習で紙ターゲットを使わず金属ターゲットを使うのも同じ理由です。楽しさ優先って事ですね(^^)

技術向上が優先なら、紙の方が良いと思います。どうミスったのか記録が残り、分析できるので。

もし自宅に

ムーバーの機械が有ったら、是非イノシシのシールを貼りたいもんです(^^)

移動標的への憧れ

私が小学生の頃、ゲーセンにこんなのがありました。クレー射撃ゲームです。

画面に光る物体(おそらくクレー)が投影され、それを撃つゲームです。これが大好きでゲーセンに通いつめた思い出があります。

APSのムーバーは、これを思い出しますね。しかも本当に弾が出る銃で!装薬銃のように弾代の心配をする事もなく。

サバゲーでも移動する敵を撃つ事もありますが、標的の大きさもスピードもバラバラだし、フルオートで撃つ事が多いので、楽しさの種類が違います。

動く物を一撃で仕留める快感は、止まっている小さな点に中てるのとは、別の楽しさです。

そのふたつを組み合わせて構成されているAPSライフル部門、考えた人、凄いですね。参加者が楽しめるように工夫されていると思います。何でライフル部門の人気が低いのか疑問です。

以前、エアガンでクレー射撃の真似事をしたくなり、どうやって移動する標的を作ろうかと試行錯誤した事があります。その記事はこちら↓

M870が好きな人のためのショットガンカタログ
概要今回はショットガン(エアソフトガン)を集めてみました。ただし、市販されている全ての製品を網羅してはいません。レミントンM870に代表されるようなオーソドックスなスタイルのショットガンを中心にしています。単なる私の趣味です。このカタログは...

結局、野外の移動標的を作るのが個人レベルでは困難なので、計画は一時凍結中です。そんな経緯もあり、APSのムーバーには期待していたんです。めっちゃ楽しいんじゃないか?と。

やってみたら、期待以上に楽しかったです!是非とも1人でも多くの人にこの楽しさを感じてもらいたいです・・

が・・この機械を置いてあるレンジが少ないですよねぇ(◞‸◟)

もちろんプレートも撃ちました

バトンレンジではムーバーのすぐ横にプレートの機械が置いてありました。公式の時は、もっと広々した場所に移動しますけどね。

APSのライフルのプレートは、ハンドガンのプレートに比べれば、ゆっくり狙う時間があります。が、

後半の3つは、外したら終了!というドキドキサプライズ付です。こういう演出、好きです。上手くいった時の「よっしゃぁぁ〜!」感がハンパ無いからです!

ムーバーと同様、中たると倒れるのでゲーム感覚も強めで楽しめます。

精密射撃というとブルズアイ、というイメージが強かったんですが、ストイックなブルズアイ、ゲーム的な楽しさが強めのムーバーとプレート。

3種目を全部撃ってみると、真剣さと楽しさが共生した、参加者が楽しめるように考えられた競技だな、と思いました。

まとめ

じっくり時間を掛けて3種目を撃ったのは今回が初めてです。

率直な感想は「これは他のより面白い!!」でした。

「他の」とは、APSライフル以外のエアガン遊びの事です。唯一、50mフライパン撃ちがこれに並ぶかも知れません。

あくまでも、私が経験した範囲内での個人的な主観なので、他の分野でも、その分野独特の楽しさがあると思います。

でも、サバゲーは放っておいても人が集まるし、スピードシューティングやAPSハンドガンは強力な宣伝媒体があるのに比べると、APSライフルがこんなに楽しい事を知っている人が少ないような気がしました。

業界関係者でも上級者でもない私のようなド素人が、敢えてこういう事を書く事で、APSライフルに興味を持ってくれる人が1人でも増えてくれれば、と思います。

楽しい事を知らないって勿体無いですからね。

近々、マルゼンの2021タイプ96LEウッドストックのレビュー記事を書きます。

では今回はこの辺で。

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マルゼンAPS.SR-2
「マルゼンAPS.SR-2」の記事一覧です。

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コメント

  1. ヤマモト より:

    こんばんは、ヤマモトです。
    ムーバー、楽しいですよね!
    私は公式記録会で初めて撃ちました。
    後半、面白いように当たり、ムーバー練習機が欲しくなりました。
    また楽しい記事、よろしくお願いします。

    • odaryuji より:

      コメントありがとうございます。シューティングに凝ると各種ターゲットを自作したくなります。いつか電動ターゲットを作れるようになりたいです。

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