概要
マルゼンSR96の命中精度向上計画、前回のチャンバーパッキン編に続き、今回はインナーバレルです。
今回やる事は2つ。インナーバレルの内面をピカピカにして、インナーバレルがガタガタしないように固定します。
インナーバレルをどうやって本体から取り外すか?については前回のチャンバーパッキン編で分解方法を解説してあります。こちらへどうぞ↓
分解できたら作業開始です。
インナーバレルの内側をピカピカにする
インナーバレルをピカピカにするんですが以前やった方法↓
と基本的には同じです。
ただ、このやり方だと手間と時間が掛かり結構疲れます。なので横着アイテムを導入します。
使うのは前回と同じ「花咲かG」とクリーニングロッドなんですが、
クリーニングロッドを電動ドリルに装着して一気にやっちゃいました。この写真の端の方にも写っていますが、
はじめのうちは汚れが黒いドロドロになって出て来ます。次第にドロドロがグレーになり、最後は汚れが無くなりピンクのドロドロが出て来ます。
そこまでやるのが手動だとかなり時間が掛かります。なので前回は途中で疲れて黒からグレーになった辺り?のトコで止めちゃったんです。
今回は楽ちんですからね。完全にピンクになるまでやりました。
ただ、「花咲かG」には多少の研磨剤も入っているでしょうから、電動ドリルを低回転で使い、同じ場所を磨き過ぎないように注意しました。
最後は新品のクリーニングロッドでよ〜く拭き取って完了です。
今回も使ったライラクスのクリーニングロッドは他社のクリーニングロッドと異なり硬い部分がありません。
棒の部分も含めて柔らかい素材で出来ているので真鍮バレルを傷付ける心配が無いんです。
そのお陰で安心して電動ドリルを使う方法を実践出来ました。
ライラクスのクリーニングロッドをAmazonで見てみる↓
「花咲かG」をAmazonで見てみる↓
弾道を乱す要因
「花咲かG」には汚れ落としと同時にワックス効果もあるようです。効果の確認の為にインナーバレルの外側面も磨いてみると、こんなふうにピカピカのツルツルになります。
触ってみると磨いた所がツルッツルになったのが良く分かります。
ツルツルだから何なの?について説明します。
BB弾はインナーバレルの内側面にぶつかりながら撃ち出されます。
「ぶつかりながら?そんなの見えないだろ?」と思いますよね。
その根拠は、特に立射では人間の手が揺れています。マズルを目視していても分かるほど!
そんなに揺れてるのに筒の中をゆっくり進む(飛んでいる弾が見えるほど遅い)BB弾がバレル内面に当たらない訳がない、と思います。
空手やボクシングの経験者なら飛んで来る弾を見てから避けるのは意外と簡単だったりします。
SR96のインナーバレル内面とBB弾のクリアランスは0.09〜0.1mmしかありません。人間の手はその何倍も揺れてるでしょう。
オリンピック選手なら0.1mm以下で止められるのかも知れませんね。その場合どうなるのか?は分かりませんが。
BB弾がインナーバレルとぶつかる事を前提とするならバレル内面の摩擦力が強いより、ツルツル滑ってくれた方が余計な回転が掛かりません。
回転とはホップ回転のように弾自体があらゆる方向に回転するという意味です。
例えばホップアップと逆方向の回転が掛かればホップダウンして弾道は降下します。
銃を傾けて弾道を左右にカーブさせる「サイコガン撃ち」なんて都市伝説もありましたね(^^)
弾が回転すればその方向に弾道が曲がります。
弾とバレルが接触する事による回転を少しでも減らしたい、それならツルツルの方が回転しないだろう、という事です。
更に言えば、重い弾の方が滑りやすくて回転しにくいでしょうから、弾道も安定しやすいと思います。
私が超重量弾を好むのは回転しにくい事と、マズルから出たあと空気を切り裂いて直進する慣性力が強い、という2つの理由からです。
重い分、弾が銃身内を通過する時間が長くなるというデメリットもありますが、仮に弾の重さが2倍になっても弾速が1/2まで下がる訳じゃないのでデメリットの方が小さいような気がします。
超重量弾BLS0.48gBB弾をAmazonで見てみる↓
尚、BB弾とバレル内面が接触する、という話なら委託射撃でも同じかも知れません。
委託射撃ではしっかり固定すれば銃自体は揺れません。が、ピストンが前進してシリンダーヘッドにぶつかった瞬間に振動が伝わってインナーバレルが共振します。
- ピストンが重い
- スプリング自由長が長くてピストンがシリンダーヘッドに当たる時の速度が速い
- シリンダーヘッドとチャンバー後面部の密着度が高い
- インナーバレルが長くて細くて軽い
このような条件の時にインナーバレルを触りながら撃つとインナーバレルが小刻みにビリビリと共振しているのを実感出来ます。
私が最初に気付いたのはインナーバレルが長すぎる銃の調整をしていた時でした。
VSR-10の50mシューティング銃を作った時に、インナーバレルを短くしたりインナーバレルに錘を巻き付けたりしたのは、共振を減らしたかったからです。
その観点から見ると
APS-3は良い銃ですね。ハンドガンなので当然ですがインナーバレルは短いし、畜気式なのでピストンの打撃による振動が無いから、共振も殆ど無い筈です。
あるとしたらストライカーの打撃くらいでしょうか。あとは畜気式による圧縮毎の気圧誤差を低減出来れば完璧です。
SR96はAPSライフルの素材としては、ほぼ完成形だと思います。その理由のひとつが・・・
インナーバレルが短い事です。従来のAPSライフルと決定的に違う部分です。
ルーズバレルだし、ご丁寧にバレルスペーサーまで付いています。バレルは真鍮製です。アルミよりは重いので共振低減に貢献している筈です。
欲を言えば更に重くて肉厚な素材でインナーバレルを作ってくれれば秀樹感激なんですが、マルゼンさんは良い意味での商売下手なので、SR96の生産ラインの維持を頑張ってもらいたいです。
クリーナー、ポリッシャー、ワックス 3つの性能を併せ持った磨き剤「花咲かG」をAmazonで見てみる↓
ライラクスのクリーニングロッドをAmazonで見てみる↓
インナーバレルの固定
今回はインナーバレルの固定にも着手しました。正確に言えばマズルの固定です。本題に入る前にこれを見て下さい。
これはマルイVSR-10.Gスペックのマズルキャップとインナーバレル先端部の写真です。このマズルキャップにインナーバレル先端部を嵌め込む構造なんですが、
この接合部には大きめのクリアランスがあるのでノーマルパーツを普通に組んだだけではインナーバレル先端がカタカタと動いてしまいます。
最初に見た時は焦りました。「これが高精度で有名なマルイのVSRなの⁉︎」と。
まぁ当時は今以上に何も知りませんでしたからね。精度と価格のバランスを考えれば良い銃だと思います。
50mシューティング銃では、インナーバレル先端部にセロテープを巻いて、ギュッと押し込まないと入らない位キツキツにしてあります。
Gスペックの真鍮バレルとリアルショックのアルミバレルではクリアランス量が異なるのでセロテープの巻数で調整しました。
これはマルゼンCA870のインナーバレル先端部とバレルスペーサーです。これも同様にクリアランスがあってノーマルではカタカタ動きました。
CA870の場合は先端から25ミリの位置にセロテープを巻くとカタカタしなくなりました。
VSR-10もCA870もセロテープを巻いた後は5m先の1センチサイコロの的中率が明確に上がりました。
バラしてセロテープ巻くだけですからね!コスパで言えば最強の精度向上チューニングだと思います。
SR96の場合はインナーバレル先端部とバレルスペーサーの接合部がカタカタします。
分かっているなら何で今までやらなかったのか?と言うと、カタカタと揺れる幅がVSR-10やCA870より遥かに小さいんです。
その状態で10mグルーピング計測でも自己ベストは出るし、APS本大会でエキスパートバッジは獲るし・・・これならセロテープ必要ないのでは??と思っていました。
それと、VSR-10やCA870と違ってクリアランスが狭すぎてセロテープを巻けない、というのも躊躇していた理由です。
さすがマルゼン本気の競技銃だからこそのクリアランスの少なさだと思いますが、そもそもAPS-3はクリアランスが無いですからね!
ハンドガンと比べても・・・という気もしますが本気銃である以上、分かっているのにやらないと言うのはもう無理です。
だって次のマスターバッジは190点!という私のような素人には想像を絶する世界ですからね!持てる全てを振り絞っても届くかどうか。
ならチューニングなんかしてないで練習しろって?・・・全くその通りだと思います(^^;;
なのでこれは自己満です。バッジを獲りたいなら遠回りです。
もしかしたら私はバッジを獲る事と同等或いはそれ以上に好きなのかもしれません。「中たる銃」が。
おっと話が脱線しました。では作業しましょう。
マズルキャップを外す
ノーマルのSR96を前述の方法でインナーバレルまでバラした場合、まだアウターバレルの中にバレルスペーサーとインナーバレルスリーブとマズルキャップが残っています。
マズルキャップは指でグッと回せば緩みます。滑るようならゴム手袋等を使って下さい。
ゴム手袋をAmazonで見てみる↓
バレルスペーサーを外す
バレルスペーサーはOリングで保持されているので「自重で落下」はしません。長い棒等でゆっくり押し出して下さい。
バレルスペーサーとインナーバレルスリーブが出てきました。この時点ではバレルスペーサーとインナーバレルスリーブの間にクリアランスがあるので、カタカタ動くのが分かります。
バレルスペーサーとインナーバレルスリーブの分解
サークリップ(Cの形)を外してインナーバレルスリーブ(長い方)からバレルスペーサー(ドーナツ型のやつ)を抜きます。
丁度サイズの合うサークリッププライヤーが無かったので、バイクのジェットニードルをバラす要領で先細プライヤーで外しました。
ただ、この方法は慣れていないと難しいかも知れないので、細めのピンポンチかマイナスドライバー2本、それとも先曲がりプライヤーの方が楽かも。
勿論、ジャストサイズのサークリッププライヤーを買って来るのがベストです。パーツを工具屋さんに持参して相談するのが確実だと思います。
インナーバレルスリーブにセロテープを貼る
次にインナーバレルスリーブにセロテープを貼るんですが、VSR-10やCA870のようにセロテープを一周巻き付けるとクリアランスが狭くてバレルスペーサーが嵌りません。
そこで・・・まずはセロテープを貼る辺りに目印として油性ペンで印を付けます。
セロテープを細く切って、セロテープの端っこをサークリップの溝に落とし、バレルスペーサーをゆっくりと被せるように入れて行きます。
セロテープが剥がれて何度も失敗しますが、失敗した後の方が成功率が上がります。セロテープの糊がインナーバレルスリーブの表面に残って粘着力が上がるからです。
成功したらガッチリ固定されます。
インナーバレルにセロテープを貼る
次にもう一箇所セロテープを貼ります。
インナーバレルの先端部です。インナーバレルとインナーバレルスリーブの間にもクリアランスがあります。
手順はさっきと同じです。細めに切ったセロテープをインナーバレル先端部と面一になるように貼ります。
セロテープを貼った側を先に入れちゃえば、後はさっきより簡単に入ります。上手くやれば1発で成功します。
成功した後、何処まで押し込むか?ですが・・・
最終完成状態でのインナーバレルとインナーバレルスリーブの重なり幅は約20ミリです。
この幅は、どうせ後でマズルキャップで押し込むので、この時点で重ねる幅は10〜15ミリ以下くらいで適当で良いです。
組み付ける順番に注意
そして再びこの状態↓まで組んだら、
今度はチャンバーから先にアウターバレルの先端側からゆっくり挿入します。セロテープがズレないようにする為です。
次にチャンバーとマガジンキャッチを固定します。その後、マズルキャップを締め込んで下さい。この順番で締め込む事によって、
さっき話した重なり幅20ミリの位置に固定されます。
ここまで来れば、後はアウターバレルとレシーバーの連結だけです。前述したように強く締める事より小分けに締める事に注力して下さい。
その方が固定力が上がり精度も出ます。
まとめ
これでチャンバーとインナーバレルまで終わりました。今回は次のシリンダーまでやったらひと区切りになる予定です。
それが終わってもまだまだやってみたいアイディアはあるんですが、ちょっと大掛かりになるので、とりあえず今シーズンはこれでいいかな、と思っています。
シリンダーまでやったら一度10mでグルーピング計測します。
自己ベストのハードルがだんだん上がってきたので超えるのが辛くなってきましたが、それでも超える為にどうするか?を考えている時間が最高に幸せです。
では今回はこの辺で(^^)/~~~
今回使用したクリーナー・ポリッシュ・ワックス剤「花咲かG」をAmazonで見てみる↓
今回使用したライラクスのクリーニングロッドをAmazonで見てみる↓
説明書文中に出てきた超重量弾BLSの0.48gBB弾をAmazonで見てみる↓
マルゼンSR96の他の記事はこちら↓
APS関連の記事一覧はこちら↓
その他いろいろな銃の一覧はこちら↓
このブログでは、いろいろな銃やシューティングをカテゴリー分けしてあります。このページの冒頭・末尾にある「サイトマップ・カテゴリー」をクリックしてみて下さい。
コメント