概要
今回は精密射撃、APSの練習の話です。APSとは、マック堺さんが「2分間に5発!」とかやってますよね。ゆっくりでいいから、よ〜く狙って小さなターゲットに当てよう、という競技です。
これがブルズアイ競技のターゲット。黒丸の直径は22ミリです。
ハンドガンのブルズアイ競技は5mの距離で撃ちます。
ライフルのブルズアイ競技は10m。
上手くなる要素は大きく分けて2つです。良い道具と身体能力です。
必要な身体能力は、視力やバランス能力等がありますが、今回のテーマはバランス能力に大きく関わる筋力トレーニングをしてみたので、その結果がどうなったか?という話です。
筋肉で支える?
よく精密射撃の世界では「銃を筋力で支えるな」と言われます。
実銃の精密射撃のライフル競技の場合、銃の重さはエアライフルで5キロ位、装薬銃だと6キロ位あるそうです。エアソフトガンの倍ですね。
ピストル競技銃の重さはAPS-3と大差ありませんが。
ライフルの場合、重い銃の方がグラグラしないからだと思いますが、その重さを腕の筋力で長時間支えるのは不可能です。
1〜2発程度なら支えられるかも知れませんが、精密射撃で要求される静止するような保持は困難です。
それが「筋力でなく骨格で支えろ」と言われる所以です。精密射撃の世界で、ボーンサポートと呼ばれる構え方です。
ボーンサポートは特にライフルで重要ですが、ハンドガンでも、筋肉の仕事量を減らす、という考え方は共通です。
今回、試した事とは
今回、試したのは「土台の安定」です。
銃を揺らさずに暫く止めておけるようになる事が目標ですから、その前に身体を揺らさない事を考えました。
つまり、銃なんか持たなくて良いから、グラグラしないように真っ直ぐ立てるか?という能力です。
その土台となるのは足です。足がグラグラしてたら、どんなに上手にグリップを握れても、真っ直ぐ引き金を引けても水の泡です。
足の筋力を強くしたらどうだろう?
と思い付きました。と言っても、フルスクワットで200キロのバーベルを持ち上げるような筋力の話ではありません。
ピタッと静止して立てるような筋力が重要です。
私は右利きなので、もともと右の筋力の方が少し強いんですが、数年前に左足を骨折して半年間左足に荷重しなかったせいで、左右の筋力差がかなり大きいんです。
右足で片脚立ちをすると、かなり長時間出来るんですが、左は5秒位しか出来ません。
右利きの私がライフルを立射姿勢で構えると弱い方の左足が軸足です。そのせいか、APSの練習を始めた当初、「ライフルってハンドガンより当たんないなぁ?」と思っていました。
まぁ、そんなわけありませんね。片手で保持するハンドガンと、両手に加え肩と頬でも保持し、更にスコープまで付いてるライフルでは、本来なら勝負にならない程の差があるはずです。
となれば完全に人間側の問題です。身体がグラグラしているようでは、銃と身体が密着していても無意味です。
そんな程度の身体安定性なら、むしろ銃だけをフリーに出来るハンドガンの方がよっぽど当たるのかも知れません。
おそらく、訓練前の私がこの状態だったんだと思います。
という訳で軸足の強化を思い付き、試した事は極めて単純です。
「片脚立ちで安定できれば、両足で立つのは楽勝じゃね?・・・」
勿論、疑問もありました。片脚立ちで不安定になりやすいのは足の幅の狭い左右方向です(身体に対する左右)。でも両足を開いて立った時は左右より前後方向の方が不安定です。
とは言え、多少の効果はあるんじゃないかな?・・・と思い、とりあえずやってみました。
静止状態の為の訓練なので、手足を動かしてバランスを取っても無意味です。
右利きのライフル立射姿勢の場合は左足が前なので、右の土踏まずを左の内くるぶしに乗せて、両手と頭は据銃した時の角度にします。
そのまま、手足を動かさず左足底の力加減だけでバランスを取ります。
最初は5秒も出来ませんでしたが、毎日やっている内に、5秒が10秒になり、20秒になり、最近では体調にもよりますが、数分程度できる事も増えて来ました。
同時に、重心が踵側に掛かっているのか?爪先側なのか?も繊細に感じ取れるようになって来ました。重心が踵より少し前、足関節辺りに載っている時が1番安定するようです。
射撃に役立ったのか?
で、それが射撃の結果に繋がったか?と言うと・・・
こんなふうに、立射でスコープを覗くと十字線がユラユラ揺れます。上級者でも全く揺れない人なんて居ません。
上手い人は揺れ幅が少ないとか、揺れ方がゆっくりとか、一瞬だけど静止する時間があるとか、そういう差だそうです。実銃競技経験者の方に聞きました。
で、私の場合、訓練前は
こういう小さな標的を狙う時、ユラユラする十字線が標的と重なるタイミングを見計って「今だっ!」って感じでトリガーを引いていました。
このやり方で当たるかどうかは正しく、神のみぞ知る、です。
銃が揺れてる時に撃発しても、銃身が動いている方向に弾が飛ぶからです。ヒントはクレー射撃の撃ち方でした。
クレー射撃では「クレーを追い越した時に銃を止めずに撃て」と言われます。銃がクレーの動線に沿って動き続けていれば、弾もその方向に飛ぶからです。
エアガンでBB弾を撃つ場合、実銃に比べて弾速が遥かに遅く、弾が銃身の中を加速する時間が極めて長いです。
特にAPSライフルはAPSハンドガンより銃身が長いのに、実銃と違い弾速はハンドガンと大差無いので、なおさら弾が銃身の中に居る時間が長く、競技での標的までの距離も遠いので、銃が揺れればその影響はハンドガンより大きくなります。
もっとも、マルゼンさんの情熱の入れ方がライフルよりハンドガン寄りな気もしますが・・・失礼、話が逸れました。
で、訓練の結果ですが、
こうやってスコープで狙った時の十字線の揺れ幅が小さくなりました。ただ、注意点があります。
揺れが小さくなるのは、練習として50発くらい撃ってから・・・です。理由は分かりませんが、筋肉のウォーミングアップだけでは駄目で、40〜50発位実射しないと揺れ幅が小さくなりません。
競技ではそんなにウォーミングアップ出来ませんから、実際のAPSの大会では下手クソのまんま・・・という事になるかも知れません(TT)
しかも、揺れ幅は小さくなっても揺れる速さは変わりません。小刻みに揺れるという意味です。それがどう影響するか?実射してみました。
すると、15×20ミリの金折の的中率は上がりましたが、1センチのサイコロの的中率は以前と変わりませんでした。
もっと揺れ幅を小さくすれば良いのか、揺れる速さを遅く出来れば良いのか、多分その両方でしょう。
実銃の精密射撃で何万円もする専用の靴を履く理由が分かって来ました。買わないですけどね(^^)
結論
今回の片脚立ち訓練で鍛えられたのは、主に下腿部と足底の筋肉です。感覚的には、足部の内反・外反の筋力の増強と、踵・母趾球・小趾球の3点支持の何処に荷重が掛かっているか?の感覚が鋭敏になった気がします。
私のような初心者の段階なら、これだけでも身体を安定させる効果はあると思います。
とりあえず、片脚立ち訓練をもう少し続けてみる事にします。
ただ、その先のレベルに到達出来た時、片脚立ち訓練だけで更なる向上が望めるのか?現時点では分かりません。
また「ウォーミングアップが不可欠問題」も何とかしないと競技成績は向上しません。これについてもこれから色々試してみます。
また、何か新しい発見があった時に「精密射撃の為の身体訓練」の記事パート2を書きます。
では今回はこの辺で。
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