概要
今回は、東京マルイVSR-10シリーズのシリンダーを分解する為に必要なシリンダーオープナーという工具の作り方を解説します。
以前に書いたこの記事↓
を読んで下さった方から「シリンダーオープナーの市販品が全て欠品だったので、自作のやり方を教えて欲しい」というリクエストを頂いたので、それにお応えする形で解説します。
シリンダーオープナーとは、
こんなふうにシリンダーヘッドを回してシリンダーとシリンダーヘッドを分解する為の工具です。
シリンダーオープナーを使わない分解方法としては、
もうひとつ穴を開けてラジオペンチや先細プライヤー等で回す方法もあるんですが、チューニングが進むにつれて、スプリングスペーサーの入れ替えやグリスの塗り直し等々、何度もシリンダーを開け閉めする事になります。
何度も作業する間に、もしノズルに傷を付けてしまったら⁉︎
そこから空気が漏れて、せっかくのチューニング銃が台無しです(TT)
重要なのはノズルとホップパッキンの接触部です。空気が最大圧力まで圧縮される場所なので、最も気密が重要な部分です。
小さな傷でもエアが漏れればチューニング銃の本領発揮は出来なくなります。
VSR-10.チューニング銃の本領は遠距離での命中精度だと私は思います。
その為に
- 超重量弾に強ホップ(高回転)を掛けたいから↓
- ホップ突起通過速度を上げる為に↓
- 弾がホップ突起を通過する前の初動を超高圧で押し出す必要がある↓
- 瞬間的な押し出し圧力を超高圧にする為に、重量ピストンや加速シリンダーと、それに見合うスプリングが必要
という図式です。
超高圧は最重要項目のひとつです。
「そんな事して初速は大丈夫?」については、Gスペックのシリーズ記事↓
で何度か解説していますが、ひと言で言えば、「超高圧なのはホップ通過時だけ!」で、その為の加速シリンダーやショートバレルです。
ノーマルVSR-10とは「いつ押し出すか」が全く違うので初速のコントロール幅は、ノーマルより自由にセッティング出来ます。
ショートバレルと言えば、もうすぐ発表になる「VSR-ONE」も、私の加速シリンダーGスペと同じ20センチのバレル長みたいですね。
となると色々と妄想が膨らみますが(^^)・・・おっと、また話が脱線しました。本題に戻します。
という訳で、この際シリンダーオープナーを自作してしまいましょう。自作なら気に入らない所を修正して自分の手に馴染む工具を作る事も出来ます。
そして工具が揃ってくれば、今まで諦めていた、あんな事やこんな事も出来るようになります(^^)
完成イメージ
全体像はこんな感じ。全長は約10センチですが、トルクを掛けるような使い方はしないので(てゆーか掛けちゃダメ)もっと短くても全然オッケーです。
周辺部分の角は、素手で握っても痛くないように面取りしてあります。
用意する物
使う材料は以下のとおりです。が、せっかくの自作ですから、全く同じにする必要は無いし、代用出来そうな物があれば、どんどん使っちゃって下さい。
・アルミ平角棒:これは厚さ5ミリ、幅20ミリ、長さ300ミリの物です。
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・鉄の丸棒:直径3mm、長さは8ミリしか使わないんですが、そんな短いの売ってなかったので取り敢えず1mです。
安い物だし、このサイズなら後々、他の銃のストッパーピンとか作れそうです。銃によっては抜き差ししにくい形状の物もありますからね。
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各部寸法
寸法の実測です。
全長100mm。もっと短くても良いです。短かくしとけば、失敗した時に余った部材で何度もやり直せますしね^^;
穴径8.75mm、ですが、ノズルが入れば良いので、これも大体で大丈夫です。穴の位置も基本はど真ん中ですが、多少ズレても大丈夫です。
大小の穴の間隔は8mmです。
鉄の丸棒は直径3mmですから、これを圧入する穴は3mmより少しだけ小さくします。
大きな穴はザグリ加工をします。ザグリとは斜めに面取りしてある部分の事です。これは、
ノズルの根元の少し太くなってる部分を逃がす為です。
ザグリの直径は約12.3mm。つまり、ザグリの幅と深さは共に約1.775mmです。でも単なる「逃がし加工」なので、大体で良いです。
鉄棒の全長は8mmです。
裏面を見るとザグリは無く、鉄棒が圧入されているのが分かります。
鉄棒の出っ張り部分の長さは、
3mmです。板厚が5mm、棒全長8mmですからね。
注意点
工作好きな方ならお分かりだと思いますが、1番精度が必要なのは、鉄棒を圧入する穴です。
太過ぎればすっぽ抜けちゃうし、細過ぎれば棒が入りません。穴の太さも均一にしないと棒がグラグラしちゃいます。
鉄棒を圧入する以外の方法として、穴にタップを立ててネジ穴にして鉄棒でなくボルトを入れる方法もあります。
その場合、ボルトはネジ径M3、ネジ山長8mmの物を使います。ネジ頭の形状は六角でもプラスでも何でも良いです。
部材は30センチあるし、後述する予備穴もありますから、10センチなら6回、6センチなら10回やり直せます。
作業手順
まず何から始めるか?は、特に決まりも無いので、一例として私がやった方法を紹介します。
切断
とりあえず長いと邪魔なので、適当な長さに切ります。6〜10センチ位で良いんじゃないかと思います。
完成後は短くても大丈夫ですが、そこそこの長さがあった方が作成中の部材の固定が楽です。
部材がアルミなので、ノコギリは手持ちの物で鉄工用があればそれで充分です。私の場合は、弦かけタイプ洋ノコ型と呼ばれるタイプを使っています。
曲線カットには不向きですが、刃が丈夫なので、少々雑に扱っても糸ノコのように簡単に刃が折れたりしません。私が下手なだけかもしれませんが(TT)
刃の向きを逆にすれば、押しても引いても使えるので、状況に応じて臨機応変に対応出来る点も気に入っています。
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面取り
ノコギリで切った切断面はガサガサなので、作業中の怪我予防の為に、軽くヤスリ掛けしておきます。
ついでなので部材の角張った所も軽くヤスリ掛けします。人前に出す物でもないので、触って痛くない程度になれば、見た目が汚くても大丈夫です。
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穴位置決め
真ん中の直径8ミリの穴と、鉄棒を圧入する小さな穴の位置を決めます。
直径8ミリの穴の位置は、だいたい真ん中であれば、多少ズレても大丈夫です。千枚通しでグリグリして窪みを付けてマーキングしました。
窪みを付ける事でドリルの刃がズレ難くなります。
そこから横に8ミリずらした所にもうひとつ、マーキングします。これが鉄棒を圧入する穴になります。
更に反対側の8ミリの位置にもマーキングします。これは穴開けに失敗した時の再チャレンジ用の予備穴の位置です。
千枚通しはダイソーとかで充分ですが、ノギスは精度が命なので、そこそこのヤツを買った方が良いです。
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8ミリの穴開け
まずは精度が低くても構わない8ミリの穴を開けます。電動ドリルを使います。
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1ミリから始めます。2・4・8ミリと掘り進めます。8ミリまで終わったら、
ザグリ加工をします。隣に小さな穴がありますが、気にしないで下さい。失敗した跡です。
そして更なる失敗は、この写真の砥石です。ザグリ用の刃が家に無かったので試しに砥石でやってみたんですが、めちゃくちゃ時間が掛かかり疲労困憊、砥石もダメになりました(TT)
やっぱり工具代はケチっちゃダメですね。ちゃんとしたザグリ用の刃を買った方が良いです。
ザグリ刃は六角軸タイプが多いんですが、普及型の電動ドリルは丸軸が多いです。なので丸軸のザグリ刃を探す必要があります。
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鉄棒の用意
次に圧入する鉄棒を用意します。長さを8ミリに切ります。
3ミリの鉄棒はそこそこ硬いので
自転車用のケーブルカッターで切断しました。写真のケーブルカッターはコスパがイマイチなので、こちらの方が良いです。↓Amazonで見てみる↓
切断できるか?だけならペンチでも切れると思いますが、後処理を楽にする為に切り口を綺麗にしたかったのでケーブルカッターを使いました。
次に鉄棒の先端を丸めます。ドリルに挟んでヤスリで削りました。
穴に入り易くする為なので削るのは先端部の尖っている所を少しだけ削りました。
圧入用の穴を開ける
次に鉄棒圧入用の穴を開けます。この穴は精度を要するのでピンバイスを使います。
ピンバイスは私が使った中ではタミヤが良かったです。写真のピンバイスはホムセンで買った安物ですが、これは失敗でした。タミヤのは息子にあげてしまったので。
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こちらも1ミリから始めます。慣れていない場合はもっと細い0.5ミリくらいから始めた方が楽だと思います。直角に注意しましょう。
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注意点があります。3.0mmの鉄棒を圧入するので3.0mmより小さい穴を開けます。
理想は3.0mmより少しだけ小さな穴を開ける事ですが、例えば2.9mmの刃を使っても2.9より少しだけ大きな穴になります。特に不慣れな場合は。
そこで2.4〜2.5くらいまで穴を広げたら、こういうドリル刃↓を使って少しずつ穴を広げて、(自信のある方は最初から2.8〜2.9でも良いと思います)
ドリル刃 8本組(2.1/2.2/2.3/2.4/2.6/2.7/2.8/2.9mm)をAmazonで見てみる↓
切り屑を綺麗に取り除いてから「キツキツだけど、棒が入るかな?」を小まめに確認します。
穴の縁に太めのドリル刃でザグリをほんの少しだけ入れました。
面倒臭い工程ですが、面倒臭い事を丁寧にやれば成功確率が上がります。
ハンマーで叩き込む時も少しずつ小刻みに叩きます。少量のオイルを付けました。
ネジ穴仕様にする場合
鉄棒の圧入ではなく、ネジ穴にしてボルトを入れる場合は、下穴の大きさを2.5mmにします。
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2.5mmの穴を開けたら、M3のタップを使ってM3サイズのネジ穴を開けます。
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2.5mmがネジの谷部分、3.0mmがネジの山部分になります。
切り屑を排出し易くする為に、部材を上にするという方法を私はよくやります。
コツは、直角に気を付ける事と、掘り進んで少しでも手応えが重くなったら、逆回転したり、一旦抜いたりして、切り屑を取り除く事です。
ネジ穴が完成したら、ネジ部の長さが8ミリのM3のボルトを取り付ければ完成です。
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↑一応ボルトのリンクを載せましたが、多少長い分にはワッシャーで調整したり切断すれば良いので、家にM3のボルトが余っていたら、それを使うのがオススメです。
おせっかい
もう持ってる方には毎度毎度しつこくて済みませんが、弾速計を持っていない方は、何より先に買いましょう。
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別に初速オーバーの為だけじゃなく、初速安定性(命中精度にも関わる)を見たり、
ピストンのグリスを高粘度にしたら初速は下がったけど安定性は上がったとか、
どの弾が安定性が高いとか、コッキングの仕方で初速が変わるとか、面白い発見が沢山あります。
堅苦しい物じゃなく、面白い物として買いましょう。
あとがき
今回はVSR-10用のシリンダーオープナーについて紹介しました。VSR-10はシリンダー内部に手を入れると著しく変化する銃です。
VSRってノーマル状態での粗さが以外と多いんですよ。部品単位での精度が出ていないと言うか。玩具でなく工業製品として見たら完全に失格です。
その代わりに価格を抑えてるんでしょうね。でも、それであのバランスに仕上げてくるマルイは商人として優秀だと思います。
もっとも、ノーマル状態での粗さが多いから私程度のド素人が手を入れる余地があるんですけどね。
VSR-ONEがもうすぐ発表になりますが、どの位の粗さが残ったまま出て来てくれますかね・・・?
まぁ、基本構造は変えようがないし、細部が多少変わったとしても、今回シリンダーオープナーの製作に使ったような工具があれば、ある程度の仕様変更はすぐに出来るでしょう。
ノーマル状態でショートバレルだし、良い素材だと思います。
(追記:よく調べたら、VSR-ONEには最初から加速シリンダーが付いてるみたいですね!!)
実は今回の内容で重要なのは、シリンダーオープナーを完成させる事ではありません⁉︎(いやいや、その為の記事だろ^^;)
重要なのは工具を揃える事によって「加速シリンダーぐらい簡単に作れる」という人が増える事です。
「電動よりエアコキが有利なのは音量だけでしょ?」と言う常識を破壊出来るとしたら、そこしか無いような気がします。
「同じ法的初速内なら射程距離も同じでしょ?」とよく聞きますが、それはノンホップの場合です。
超重量弾を使えて、それに見合うホップチューンをすれば有効射程距離、つまり遠くの標的に中たるか?はかなり変わると思います。
その為の私の原点「超高圧の為の加速シリンダー」はエアコキだから出来る事なのかも知れません。
電動でやるには、駆動系の負担が大き過ぎる気がします。
50mシューティングでも、サバゲースナイパーでも、エアコキスナイパーライフルが
「電動では無理な距離」
から撃てるような銃になれば、それが本当のロマン銃のような気がしてちょっと興奮します。
私は最近APSライフルにハマっていますが、いずれまた、加速シリンダーを更に進化させたいと思っています。
「もっと遠くへ」「もっと中たる」を追い続けたいですね(^^)
シリンダー封印解除の記事から飛んで来た方は、こちらからお戻り下さい。↓
では今回はこの辺で(^^)
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