概要
今回はマルゼンSR96-11Sをマイクロサイト仕様からスコープ仕様に変更した話です。前半でマイクロサイトの何が不満だったのか、後半でスコープの弱点(正確には疑問)について話します。
先日参加した公式練習会、結果はさんざんでしたが色々な発見もありました。
発見とは主にスコープと比較した場合のマイクロサイトの短所に関してです。それを元に前半では以下のテーマについて話します。
- 目が悪いとマイクロサイトは厳しい
- 暗い所ではマイクロサイトは見え難い
- マイクロサイトは視界が狭い
- マイクロサイトでは見えないターゲットがある
1.目が悪いとマイクロサイトは厳しい
単なる近視なら眼鏡を掛ければ大丈夫です。ここで言う目が悪いとは眼鏡で矯正しきれない症状がある場合です。
私の場合、近視に加えて乱視や黄斑変性症など加齢に伴う色々な不具合が最近になって出てきたのでスコープを付ける事にしました。
揺れてるから中たらない、というのなら「もっと練習して上手くなってやる」という気になるんですが見えなくて中たらない、というのは射撃自体を楽しめなくなっちゃいます。
オープンサイトで2回公式に出たし、自宅練習ではスコープでの記録を凌ぐ自己ベストを更新したりして、マイクロサイトの楽しさは充分味わったので満足です。
なんちゃってオリンピック気分を味わえるマイクロサイトは好きだったので、ちょっと寂しいですけどね。
まぁ、物は考えようです。もし趣味が実銃だったら狩猟もやりたくなるでしょうから「よく見えない」なんて状態では恐ろしくて大好きな趣味を続けられなかったかも知れません。
BB弾ならAPSの点数が下がったり、スピードシューティングのミスショットが増えたり、サバゲーでの索敵が不利になる程度で済みます。
最近はVSR-10での50mシューティングはお休み中ですが、再開する時は高倍率スコープを使えば何とかなると思います。
2.暗い所ではマイクロサイトは見えにくい
例えばこの写真。フロントサイトの黒輪とターゲットのプレートが似たような大きさだから見難い事という事もありますが、後ろの背景が青ですね。
背景が黒だったらサイトが見えないし、白じゃプレートが見えないので、青い背景が悪い訳じゃありません。
照明と自分の位置関係によって光の当たり方が変わるので、フロントサイトの黒輪の見え方が変わります。
黒輪が薄くしか見えない時や殆ど見えない時は「サイトの真ん中ってこの辺かな・・?」と、電池切れのドットサイトのような撃ち方をするしかなくなります。
光の当たり方の影響はスコープでもあるんですが、マイクロサイトの方が影響は大きいです。
3.マイクロサイトは視界が狭い
ムーバーはターゲットが横から動いてきます。
フロントサイトの視界だけに集中していると、視界の中に突然ターゲットが入って来てビックリします。
実際にはフロントサイトの外側の景色も見えているので近づいてくるのが分からない訳じゃないんですが、スコープの見やすさには敵いません。
これを使えば大分違うのかもしれませんが。(ライフルショップエニスのカタログより)
これの実物を店頭で見せてもらった事があります。とにかく視界が広い!と言うか視界を遮る物が何も無いのでフロントサイトの黒輪だけが宙に浮いてるように見えます。
これならムーバーもいけるな!と思いました。APSには相性の良いサイトだと思います。目が悪くなる前に試しておけばよかった(TT)
津場さんが紹介動画を作ったようですね。
4.マイクロサイトでは見えないターゲットがある
今度はこの写真。これも光の当たり方の影響が大きいんですが、フロントサイトの黒輪とジャマーの大きさがピッタリ重なったりすると、黒輪が殆ど見えなくなる事があります。
それを理解して「見えないって事はピッタリ合ってる筈だ」と自信を持って照準すれば良いんでしょうけど、突然見えなくなるとパニクります。
これもさっきと同様、電池切れドットサイトのような撃ち方になります。
「よく見えない時にどうするか?」という難しさもマイクロサイトの面白さなのかも知れません。
その為にカラーフィルターとか偏光フィルターのようなオプションパーツもあるようですが私は使った事がありません。
興味のある方はライフルショップエニスや銀座銃砲店等で聞いてみて下さい。
ここまでマイクロサイトの不得手な部分を書きました。
確かにスコープより慣れが必要だと思いますが、オープンサイト部門は10点のハンデを貰ってるので、視力の良い人ならオープンの方が有利なんじゃないかな?と思いました。
ブルズアイならスコープより見やすい
マイクロサイトは本来ブルズアイの黒点を狙う為のサイトです。
プラインサートは視界が広い代わりに、黒輪が薄く見える気がします。(照準合ってなくてすいません)
プラインサートの真ん中の黒輪は塗ってあるのではなく、斜めにカットする事によって黒い影のように見える仕組みになっています。(全てのプラインがこの構造か?は分かりませんが)
スチールインサートの黒い部分は鉄で、その他の部分は素通しです。
ブルズアイだけなら光の当たり方の影響を受けにくく、黒い部分がハッキリ見えるスチールインサートの方が好きです。
白紙に黒点のターゲットなら、細かい揺れが見えすぎて引くタイミングを逃してしまいがちなスコープより狙いやすいと思います。
狙い方のイメージとして、スコープだと揺れる標的をつい目で追ってしまってタイミング撃ちをしてしまいがちです。
タイミング撃ちとは、まだ銃が大きく揺れているのにレティクルが標的に合った瞬間にガク引きしてしまう事です。
マイクロサイトだと細かい揺れが見えない分、身体が揺れていないか?筋肉は力み過ぎていないか?に気を配る余裕があるので、銃がちゃんと止まってから撃つ、という本来の精密射撃の撃ち方がやりやすいような気がします。
私の公式での成績も、ブルズアイだけならスコープよりマイクロサイトの方が高得点でした。
黒点こそ精密射撃!という方にはマイクロサイトの方が楽しいと思います。
スコープと違って最短フォーカス距離の縛りが無いので、自宅でAPSライフルの練習をしたいけど10mなんてとれない、という場合にもマイクロサイトなら大丈夫です。
例えば自宅で2.5mしかとれないなら、白丸ターゲットペーパーに5ミリの黒丸を塗れば、10mでの10点圏(2センチ)と同じ大きさです。
塗るのが面倒臭い時はダイソーとかで小さな丸型のシールも売ってます(^^)
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私が使っている練習用の弾はG&Gの0.28gプラ弾です。5mまでなら高価な弾と大差ない精度が出ます。
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スコープの弱点
先程の力むかどうか?はスコープの本来の機能とは無関係です。スコープを載せて重くなる事も弱点じゃありません。
姿勢保持の為の最小限の筋力以外の「筋力を使わない」事が基本となるライフルの精密射撃では重い事は短所にはなりません。むしろ重い方が安定します。重ければ小刻みに動き難い(精密射撃では超重要)ですからね。
スイング動作の加減速(アクセルとブレーキ)が激しいスピードシューティングや、
精密に中てる事(攻撃力)より、薄く低く構えたり匍匐前進する事(防御力)の方が重要(ボーンサポートなんて無理)なサバゲーとは優先順位が逆です。
速く動いたり、筋力で保持するなら軽い方が良いです。
精密射撃は止まる事を競うという珍しいスポーツですね。
実銃精密射撃の場合、重すぎちゃダメ!なんてレギュレーションもあるようです。
重さがデメリットになるのは会場への移動時位です。まぁスコープが増えた程度ではそこまで変わりませんが(^^)
パララックス?
問題はサイトパララックスです。この用語、私は何となくしか知らなかったので、ちょっと調べてみました。
サイトパララックスという言葉には2つの意味があるようです。(違ってたらスイマセン^^;)
- インナーバレル(銃身軸線)とスコープ中心(照準線)の高低差
- スコープのレティクルが投影されているフォーカス上の距離と目標物までの実際の距離の誤差
この2つですが、要するに目で見てる所と弾が通る所が上下にズレてるか?前後にズレてるか?って事ですかね。
まず1.は上下の方です。弾道と目線の高低差の事です。
10mしか撃たないAPSライフルの場合は簡単に調整出来ます。
元々APSライフル用の純正マウントレールは前下がりになってますからね。
私はハイサイトブロックも使ったので更に2ミリ程、ワッシャとゴム板を挟んで後ろ側を高くしました。
96LEウッドストックに付いていたマウントレール一式がポン付け可能でした。マウントレール自体はSR96-20Sと同じパーツだと思います。
96LEウッドストックの取付調整記事はこちら↓
マルゼンの20mmレールはウィーバー規格に近いようで、溝の幅がピカティニー規格より狭いです。
ピカティニー規格のハイサイトブロックを取り付ける為に溝の幅を少し広げました。角っちょを少し削るだけで大丈夫てす。
先程のゴム板やワッシャもそうですが、この手のアダプターの類をやたらと付けるのは精度や剛性を考えるとベストではありません。
今回は立射というAPSライフルの競技特性を考え、体格に合わせる事を優先してみました。顔が人一倍デカいようですね、栗頭先生みたいに。
銃身線と照準線の高低差と角度を大きくする事で10m0.48gの本番用ゼロインと5m軽量弾(0.25〜0.32g)での練習用ゼロインを無調整で併用出来るという副次的利点もあります。
自宅室内に5mレンジならあるので毎日撃てる環境を作る為の苦肉の策です。
そんな事をしなくても体格に合った調整の出来る人や10m練習環境を確保出来る人にはお勧めしません。
スコープを中心から覗かないとどうなる?
ここからが今回のメインテーマ「スコープの方が中たる筈でしょ⁉︎」という話です。普通に考えれば良く見えるスコープの方が中たるはずです。シモ・ヘイヘじゃあるまいし。
これが2.の前後のズレに絡んで来るんですが、以前から何度かこのブログで触れたネタです。今回はもう少し掘り下げてみます。
2の前後のズレとは「スコープのレティクルが投影されているフォーカス上の仮想の距離と目標物までの実際の距離の誤差」です。
この現象のせいで「スコープという物は、ちゃんと中心から覗かないと着弾が逸れる」ような気がしていました。
それを補正する為にフォーカス調整機能が付いている筈なんですが、50mシューティングやAPSライフルの経験から近距離の方が影響があるような気がしていたので、APSライフルの10mや5m部屋撃ちのような超至近距離でもそれだけで充分なのか・・・?
セルフツッコミを入れるとしたら「50mは風があるからよく分かんないだけだろ⁉︎」という気もしますが・・・
以前書いた↓の記事を自分で読み返してみて改めて疑問を抱きました。この記事の中の特にJPsikahunterさん(鹿先生)の動画に関する部分です。
鹿先生の動画だけを抜粋するとこちら
動画を見てみると距離が近い手前の木の枝の方がズレが大きいですよね。この時のフォーカスの設定距離がどうなっているのか詳細は分かりませんが、他にもこれと似たような事を言っている動画を見つけました。
いなか遊びハンターさんという方の動画です。この動画の4:00〜の所です。
カメラ位置(目の位置)がスコープ中心に対して、右にズレれば射線(レーザー照射位置)は左に、上にズレれば射線は下に、移動しているように見えます。
これはショートスコープなのでフォーカス調整機能が無いタイプかも知れませんがフォーカス調整だけで、この誤差を修正出来るのか気になります。
また、精密射撃なら接眼レンズは小さい方が良い、という件も知りませんでした。勉強になりました。次にスコープを買う時の参考にしたいと思います。
そして動画をもうひとつ。こちらは、もとじもやしさんという方の動画です。
この動画の説明が1番分かり易かったです。フォーカス調整機能の無いフロンティアのショートスコープで50mシューティングの最高記録を出せた理由がやっと分かりました。
ショートスコープの多くは40m以上にフォーカスを合わせてあるので50mなら問題にならなかったという事でしょう。
逆に言えばフォーカス調整の無いショートスコープは至近距離精密射撃ではパララックス(前後の誤差の方)が出るという事でしょうね。
ショートスコープって低倍率から中間倍率まで使えるので、視力の低下した中年おじさんには便利な場面が多いんですけどね。
特に森林サバゲーでは動的射撃から索敵まで使えて応用範囲が広いと思いますが、適材適所という事ですね。勉強になりました。
今回参考にさせてもらったようなスコープ内の撮影は、いずれ自分でも試してみたいんですがレンズでレンズを撮るって大変なんですよね。皆さん凄いですね。そのうち運良く上手に撮れたら公開したいと思います。
スコープ仕様こそチークピース
スコープに載せ替えて暫くの間、室内5mレンジで試射&練習として撃ってました。自分の眼と身体をスコープでの狙い方に慣れさせる(思い出させる)為です。
この時、特に意識したのはチークピースの位置です。
“スコープを真ん中から覗く”を実現する為には、毎回同じ位置で頬付け出来ないといけません。その為のチークピースの調整を繰り返しました。
右側にかかる黒い影。これを通称「ケラレ」と言います。これが出にくくなるように眼の位置を上下左右前後に動かしてみて、1番見えやすい眼の位置を探します。
良い位置が見つかったらチークピースを調整して毎回同じ位置に眼が来るようにします。
この時、頬っぺたの肉がぎゅーっと押し出される位強めに頬付けすると、チークピースと頬骨が当たってるような感触があって位置が分かりやすいです。肉と違って骨ならズレませんからね。
チークピース位置を変えるとバットプレートやトリガー位置なんかも変えたくなって来ます。
「色々変えてみる」これ、まだ試してない人は是非やってみて下さい。
「バットプレート短くしたら、銃が身体に密着する気がする」とか「トリガー位置を近くしたらシアがいつ落ちるか?が分かり易い気がする」
などなど、必ず何か気付く事があります。単なる調整なので気に入らなければ元に戻すだけです。
道具を使うスポーツって、道具が半分・人間が半分だと思います。
最たる例がモータースポーツですが、良い道具を作る喜び、それを操る面白さ、トータルでやれば更に楽しいと思います。別名、沼とも言いますが^^;
話を戻して・・・スコープで5メーター先の1センチのサイコロをしばらく撃っていると、だんだん慣れて来て・・・
このようにど真ん中で、トリガーを引ける事がたまにあります。そして「今のは上手くいった!」・・・と思ったのに外れる事があります。下の写真を見て下さい。
他の銃の写真で恐縮ですが丁度良い写真があったので。
一見、ケラレも無く綺麗に覗けているように見えますが、接眼レンズの周りの黒い部分をよく見ると、右側が左側より僅かに厚いのが分かりますか?
これはスコープの中心より少しだけ左側から覗いているからです。
この程度のズレであれば、5mで1センチ程度の標的なら中たっちゃう事もありますが、中たった後の標的が後ろに吹っ飛ばず横に飛ぶ事が多いです。つまり芯に中たってないんです。
ただ・・・所詮BB弾ですからね。5mと言えど数ミリの誤差もなく正確に着弾してるとは思えません。
なのでこの話はあくまでもド素人な私の主観として、中心を覗けてない時はよく外す気がする・・・と言う、いまいちエビデンスに乏しい戯言です。
例えばノーベルアームズの説明書↑にも「フォーカスをちゃんと合わせれば覗く位置がズレても大丈夫」と書いてあるので、本来はそういう設計になってる・・・はずです。ケラレる程ずれてなければ。
まとめ
今回のメインテーマは「スコープは中心を覗かないと中たらないのか?」でした。
参考にさせてもらった動画の内、鹿先生のスコープは、もしかしたら狩猟での距離(100〜300m位?)にフォーカス調整してあったのかも知れません。であれば手前に映っていた枝がレティクルからズレるのも当然という事でしょうか。
いなか遊びハンターさんは、レーザーまで使って分かりやすい動画を作ってくれる親切な方なのでイチャモンは付けたくないんですが、動画の中のショートスコープはスコープメーカーの言う所の「フォーカスが合ってる状態」ではないかも知れません。もし誤解だったらスイマセン。
もとじもやしさんの動画では「フォーカスを合わせれば殆どズレない」との事でしたから、それが正解なんじゃないか?と思います。
以前書いた「依託射撃では三脚を2台使う」という話の時と同様、私自身がまだまだ道具を使いこなせていないのが最大の原因な気がします。
近いうちに、このSR96-11Sスコープ仕様も10mグルーピング計測をやる予定なので、その時に何か気付く事があるかも知れません。
では今回はこの辺で。
追記:後日10m依託射撃をしました。どうやらスコープのせいじゃなさそうです。意外なところに他の原因がありました。詳しくはスコープ仕様での10mグルーピング計測の記事に書きます。
10mグルーピング計測の記事はこちら
SR96-11Sの他の記事はこちら
廉価版とは思えない精度のAPSライフル!SR-2の記事はこちら
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