- 概要
- 本来必要な距離
- シルエットの肝は弾道の落下量
- どうやって落下量を再現する?
- 実射してみる
- ターゲットも縮小
- 着弾痕にターゲットを並べてみる
- 9〜10mの着弾点と5〜6mの着弾点を比較してみる
- 実際に撃ってみた
- 見えないターゲットの狙い方
- クリードマンスタイルのメリット・デメリット
- ライフルでもシルエットをやってみたい(SR-2で)
- まとめ
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概要
今回は、APSハンドガンのシルエットの練習を5〜6mの距離で出来ないかな?という話です。
シルエットの練習をやりたいけど自宅や狭いレンジでは10mの距離が取れないというケースは多々あると思います。
そこで、もっと短い距離で練習する方法を考えてみました。
本来必要な距離
本来の距離、つまりAPS公式大会に於けるシルエットの射撃距離は1番遠いターゲットが10mです。
ただし、射座のラインからターゲットまでの距離が10mなので、10mピッタリでは射手のスペースがありません。
特に伏射では、上の図にもあるように頭の上まで腕を伸ばすので射手の身長以上の長さが必要です。
10mターゲットの後方にも多少の隙間は必要だし、現実には12.5m位のスペースが必要だと思います。
最初から射撃を考慮した部屋選びや改装でもしていない限り、そんな恵まれた環境の人はごく一部だと思います。
(写真はバトンレンジです。APSライフルのメッカだけあって、これ以上ない広さです。室内50mレンジなんて初めて見ました!)
シルエットの肝は弾道の落下量
前回の記事では、5mでゼロインしたノーマルのAPS-3で6〜10mを撃つと着弾点がどうなるのか?を10mレンジで検証しました。その記事はこちら↓
この時はG&Gの0.28gプラ弾を使いました。↓
ノンホップのエアガンの弾道は実銃の遠射のような放物線の弾道になります。
前回の検証でも5mでゼロインしたAPS-3の弾道は7mで最も高い所を通り8mで元の高さに戻り9mで落下、10mで大きく落下しました。
何mでどのくらい落下するか?は、初速や弾の重さによって大きく変化します。
APSのシルエットはその落下量を予想して狙点を決める技術を競う競技です。
逆に言えば・・・落下量が再現出来れば距離が変わっても練習くらいは出来るんじゃないかな?と思い付きました。
どうやって落下量を再現する?
まずは10mレンジで実射した時の着弾点を再確認してみます。6〜8mでは落下は無く、ほぼ狙点通りの着弾だったので9mと10mを見てみます。
まず9mの着弾です。
狙点は中心を狙いました。着弾痕を見ると落下量は3センチのシルエットターゲットの半個分くらいですね。
そして10mでの落下量は、
ターゲット一個分・・・よりはちょっと少ないくらいかな。
この落下量が再現できれば良いという事です。その方法ですが・・・
これを使います。BLSの0.48gのBB弾です。私がAPSライフルの公式で使っている弾です。Amazonで見てみる↓
要するに、重い弾なら落下量も大きいから短い距離でも大きく落下するんじゃないかな?という理屈です。
実射してみる
早速試してみましょう。
使う銃は前回同様フルノーマルのAPS-3。初速は0.2g弾での10発の平均値が85.369m/sです。
ゼロインも前回の0.28g弾で5mゼロイン(センター照準)してある状態から全くイジってません。
この銃で、依託射撃で0.48g弾を5mで10発撃ちました。すると
やっぱり弾が重い分だけ落下しますね。着弾が散り気味なのは私の視力とウデが悪いせいです。
では、次に6mで撃ってみます。
5mより更に落下しました。
これだけじゃ分かりにくいので、前回みたいにターゲットを並べてみましょう。
ターゲットも縮小
今回の目的は、本来なら遠くにあるターゲットを近距離で撃って練習する事ですから、3センチのシルエットターゲットをそのまま使うのではデカ過ぎて中てるのが簡単過ぎます。
そこで・・・
3センチのシルエットターゲットよりひと回り小さなターゲットを使います。普通にホムセンで売ってる特厚金折です。
サイズは20×16ミリのヤツです。Amazonで見てみる↓
算数の時間です。3×3センチのシルエットターゲットのサイズ感を近距離で再現しましょう。
10m先にある3センチのターゲットは、5m先から見るなら1.5センチに縮めれば同じ大きさに見えます。
同じように9mなら約1.7センチです。
今度は5mではなく6m先から見た場合、本来10mの位置にある3センチのターゲットは1.8センチに縮めれば良いし、9mなら2センチです。
かなり大雑把な計算ですが、シルエットターゲットを9〜10mに置いた時に、どのくらいの大きさに見えるか?というサイズ感を5〜6mで再現したかったんです。
ホントは15・17・18・20ミリのピッタリサイズのターゲットを作る為にフロンティアのシルエットターゲットをぶった切ろうか?と思ったんですが、似たようなサイズの金折が余っていたので妥協しました^^;
着弾痕にターゲットを並べてみる
これをさっきの着弾痕に並べてみます。
まずは5mの距離で0.48g弾を撃った着弾点に並べると・・・
狙点は中心なのでターゲット半個分くらい落下してますね。
次に6mから撃ったヤツです。
6mではターゲット一個分・・・よりちょっと少ないくらいの落下量ですね。
9〜10mの着弾点と5〜6mの着弾点を比較してみる
次に前回9〜10mで実射した着弾点と今回の5〜6mでの着弾点を比較してみます。
ここで何を見るかと言うと、何ミリ落下したか?ではなく、ターゲットの大きさに対して、どのくらい落下したか?
つまり実際に狙う時に「ターゲットの高さの半分くらい上を狙えば良い筈だ」というような狙点の目安を再現出来ているか?を見ます。
まずは9mと5mの比較です。
どうでしょう・・・狙点(中心)よりターゲット半個分くらい落下して着弾してるという意味では同じ・・・ですかね。
次に10mと6mの比較です。
う〜ん・・・ちょっと微妙な感じもしますが、両方ともターゲット一個分よりは少し上に着弾してる・・・と思います(^^;;
まぁ、私のウデのせいでグルーピングはちょっと残念な感じですが、落下量は何となく再現出来たんじゃないでしょうか。
実際に撃ってみた
じゃあ、これで練習になるのか?
APS-3に、
0.48gの弾を入れ、
金折ターゲットを設置して5mで実際に撃ってみました。
5mは9mの再現、6mは10mの再現ですから、フロントサイトに隠れてターゲットが見えません。こんなふうに↓
ターゲットが見えない!見えない物を精密射撃なんて前代未聞です。デュークじゃないんだから。
この辺かな??と当たりを付けて撃ってみます。
(APSアプリの音)シルエット、スタンバイ、レディー、ゴー・・・
・・・初弾は失中・・・次弾も失中・・・3発目も失中・・・4発目で、キィーン!やっと中たりました(^^;;
やっぱり難しい!
ちゃんとしたレンジで本当に9〜10mを撃った時と同じくらいの的中率でした。
・・・同じ的中率?・・・あの難しさが再現出来たって事かな?・・・という事は、短い距離での練習方法の確立という今回の主旨としては成功って事?
もし、これが成功ならもっと短い距離にも応用出来そうですね。普通に使う弾と仮想距離練習の弾の重量差を広げれば良いので。
今回は試したレンジは5〜6mでしたが、例えば4mしか取れないなら最初のゼロインの時点で0.28gよりもっと軽い、例えば0.25gくらいの弾を使うとか。
弾についてはこちらを参考にして下さい↓
または最初のゼロインをsub6照準にすれば、センター照準での着弾点が上方に移動します。視力によってはこちらの方が現実的かも知れません。
sub6照準についてはあきゅらぼの池上さんが詳しく解説して下さっています↓
見えないターゲットの狙い方
さっきの試し撃ちはシルエット競技でやるように両手持ちの立射で撃ちました。ただ、それでは射手の技術力に大きく左右されます。なので依託射撃をしてみました。
写真は屋外で撃った時の使い回しですが、依託方法は私の好きなダブル三脚です。
これでも視力が低いという懸念は残りますが、手がプルプルしてるよりは遥かにマシでしょう。
これで仮想9〜10m(現実には5〜6m)の見えない標的にどうやって中てるか?を研究してみました。
500発位撃ってみたらだんだん分かってきました。
前述の通り、仮想9メートルはターゲットの上端、仮想10mはターゲット一個分弱くらい上を狙うと的中率が上がりました。
500発撃つ途中からは、依託射撃なら中たるようになりました。10〜30発に1回くらい外すかな?という感じに。
立射では銃が止まらないから中たらなかったようです。完全にウデのせいですね(TT)
依託射撃で狙点の決め方が分かってきました。見えない標的に狙点を合わせる手順が肝心なようです。私がやってみた方法は、
まずサイトアライメントの山の字を綺麗に作り、山頂に標的を乗せます。銃を大きく動かすのはこの時までです。
山頂に標的をゆっくり沈み込ませます・・・この時、銃はなるべく動かさず顎を引けば目線が下がりリアサイトが上がってきます。
標的が完全に隠れた所で・・・
(↑フロントサイトの右側に銀色の標的が少しだけ見えるのが分かりますか?)
フロントサイトの横から標的を覗いて上下位置を確認します。この時、頭を傾けると重心がブレて体と銃が動いてしまうので、首をゆっくり回して目の位置だけを移動させます。
(↑今度はフロントサイトの左側に注目して下さい)
同様に反対側からも覗きます。
これを2〜3回繰り返して正確な狙点を出すんですが、私の場合8秒以上やってると目が疲れて標的がボヤけてきます。(視力のせいでしょうね)
サイティングは正確に迅速に、という2つの要素のせめぎ合いが面白いです。
上手く的中した時はキン!という金属音と共に達成感に包まれます。サイティングの苦労が報われる瞬間です。
ほぼ1日掛かりましたが精密射撃なのに500発も撃てたのは面白かったからです!面白いと飽きないので練習というより1日中遊んだという気分でした。この日はぶっ倒れるように寝ました(^^)
クリードマンスタイルのメリット・デメリット
何となく狙い方が分かってきたので500発の後半はプローン(伏射)についても2種類のやり方を試してみました。
プローンのやり方としてはうつ伏せで撃つ方法が一般的ですが、仰向けで撃つ方法をクリードマンスタイルと言います。これも試してみました。
マック堺さんはクリードマンスタイルをよく使っているようですね。
ここでクリードマンスタイルのメリット・デメリットをまとめておきます。
と言っても、まだ自宅室内練習で撃っただけなので熟練度が上がれば印象も変わるでしょうし、上級者の方に意見を聞いた訳でもありません。私の個人的な感想です。
クリードマンスタイルのメリット
- 銃のグリップ周囲だけでなく銃の前半分(銃身)も下腿部に当てて安定させられるのでライフルのように銃の前後を固定する状態になる
- 細くて弱い手の指に銃の重さが掛かるより太くて重い足に銃を預けられるのはかなり楽(手は添えてるだけ)
- サイトから目までの距離が長くなるので、オープンサイトの場合、フロントサイトの左右の隙間が狭くなり、より精密に狙える
- 首が悪い人(ストレート頚椎等)の場合、頸椎を後屈しなくて良いので首が痛くなったり指が痺れたりしない
- 胸部が床から浮き気味のうつ伏せに比べて背中がほぼ床に付いているので体幹の安定性が高い
クリードマンスタイルのデメリット
- フロントサイトの左右の隙間が狭くなるので隙間から標的を確認する方法がやり難い
- 頭を持ち上げておく必要があるので首が疲れる(僧帽筋が硬い人は首が痛いかも)
- 腹筋が弱い場合、プルプルして揺れる(腰痛予防には良い)
- ターゲットから目までの距離が遠くなるのでターゲットがかなり小さく見える(狙点の微調整が難しくなる)
とまぁ、こんな感じですかね。
この中で特に印象強かったのは、メリットは据銃の安定性、デメリットは狙点の微調整の難しさだと思いました。
標的の見え方が大きく変わるので面白いです。やった事ない方は試してみて下さい。
クリードマンスタイルについては本大会198点!の大先生リスキー加藤さんも動画で意見を話されていました↓
ライフルでもシルエットをやってみたい(SR-2で)
弾道予測、楽しいですね!50mシューティングに萌えていた時期もあるので弾がどう飛ぶか?を妄想するのは大好きです。
ただ、50mシューティングでは最大の敵は風です。いつ風向きや風速が変わるか?は神のみぞ知る!です。◯奥圓明流じゃあるまいし神と競っても負けます。
落下弾道の予測は実銃では狩猟にしろ長距離射撃にしろ主にライフルでの距離補正の為に行われる技術です。
その為にミルドットレティクルという物もあります。
このミルドットを使って風の無い室内で落下量を計算しながら撃つような競技があれば面白いかな、なんて妄想してしまいました。
シルエットの台座やレンジをそのまま使い、ターゲットは1.5センチくらいで(半分に切るだけ。金折でもいいし)。ライフルでのプローンも面白そうだし。
プローンならAPSライフル廉価銃(精度は全然廉価じゃないけど)のSR-2(チークピースやバットプレートが廉価版)でも不利になりにくいと思います。
SR-2はストック形状が軍用ライフル、つまりプローン用ですよね。立射に最適化されたストックよりアジャスタブルストックの方が有利だったりして!
スコープは別売ですけどね。でもサバゲースナイパーの方なら
- 使ってないスコープが余ってる
- プローンは毎週やってる
- 弾道に興味がある
なんて人も多いと思います。SR-2ならガスブロハンドガンみたいな値段だし。
現行APS銃の中で最安価のSR-2。それが有利な種目がある!?・・・となればAPSを始める人が増えるような気がするんですが・・・入り口はライフルでもハンドガンでも良いと思います。・・・どうでしょう、マルゼンさん?
安いのに良く中たる!SR-2の精度についてはこちらを参考にして下さい↓
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まとめ
今回はAPS自宅練習の鬼門「シルエットの10m練習どうしよう?」について考えてみました。
ホントに10mレンジで撃てればベストなのは言うまでもありませんが「10mなんてたまにしか撃てないからシルエットは苦手」という人も多いと思います。
今回の検証も完璧ではありません。10mレンジでプローンを実射してないし、弾の重さを変えたらどうなるか?も未知数です。
10mを確実に獲りたいなら0.28gでは軽過ぎると個人的には思います。重い弾は落下量が増えるので狙い方は難しくなりますが、直進性が上がるので集弾性能は上がります。理論上は。
ただ、私のような下手糞にとっては、いくら集弾が良くても狙い方の難しさによるヒューマンエラーの方が遥かにデカいな!と思ったので0.28gにしてみました。
フリーサイト部門ならまた話が変わると思います。狙い易ければ重い弾の方が中たる筈です。ライフルみたいに。
ハンドガンの場合ドットサイトの重さという問題はありますが、精度の良い銃なら精密に狙えるサイトの方が楽しい!という事を、
精密速射ショットガン⁉︎で実感しました。何が楽しかったかと言うと、この銃で・・・
早撃ちの初弾練習にならないかな?と思ってハンドガン用プレートを撃ってみたら、思いの外楽しくてそのまま3時間休憩無しで撃ち続けちゃったからです。
APSハンドガンの公式が近いんだからAPS-3撃てよ!って気もしますが公式前って、ずっと同じ銃で練習するので気分転換に他の銃を撃ちたくなるんですよ。
で、そっちが面白くなっちゃって練習が疎かになり公式の点数が低くなる!というオチです(^^;;
おっと!また話が脱線しました。APS-3にドットサイトを載せるのも面白そうと言いたかっただけなんですが。
他にも検証しなきゃいけない事が山積みです。今後も少しずつ「APS練習を自宅で愉しむ工夫」を追求します。
では今回はこの辺で(^^)/~~~
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