概要
今回はマルゼンのSR96-11Sのシリンダーを開けて内部を少し変更します。
目的は、マルゼンtype96.LE2021ウッドストックの命中精度に追い付く事です。
何をするのか?について当初予定していた方法は、type96.LE2021ウッドストックでやった方法を予定していました。
その方法とはこちら
SR96-11Sの気になった点
実は、新品購入時から少し気になっていた事がありました。それは・・・
シリンダーの気密が取りきれていない事。
気密の確認方法は、木の棒等でピストンを下げて、ノズルを指で抑えて、割り箸を放します。
すると私の個体の場合は、ピストンがゆっくり前進しました。
これはピストンリングとシリンダー内壁の隙間からエアが漏れているからです。エンジンで言えばピストンリングの摩耗みたいなもんです。
とは言え、type96.LE2021ウッドストックの箱出し状態のようにストンと抵抗無く前進する訳じゃなく、ゆっくり前進するだけなので、ノーマルのVSR-10と似たような状態です。(私の個体の場合)
このままでも普通に撃てるし、私のような素人が撃つ分には充分な精度も出ている事が、前回の実射検証で分かりました。
ただ、実用上問題無いとしても気になっちゃうんですよねぇ・・・改善方法が分かっているのに機械的な不備がある状態のまま使い続けるのって・・・^^;
改善方法とはこのピストンヘッドの事です。
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ただし、これは不備ではなく、わざと?かも知れません。単なる私の想像ですが・・・
摺動抵抗を減らす為に硬い樹脂製のピストンヘッドを使いたい、その為なら誤差程度のエア漏れは看過する、というマルゼンの設計思想なのかな?とも思いました。
ピストンスピードを均一化したい、その為に摺動抵抗を減らしたい、という理屈なのかも知れません。
とりあえず、ノーマル状態での一通りのデータ取りも終わったので、気になっていたシリンダーの気密を改善する事にしました。
気密の改善が性能の改善に繋がるか?は、この時点では分かりません。
同じ方法が使えない⁉︎
当初の目論見ではtype96.LE2021ウッドストックでやった方法で大丈夫だろう、と思ってたんですが、やってみたら問題が発生しました。
96LEウッドと同じように32mm弱に切ったアルミスペーサーで下駄を履かせたら、コッキング出来ませんでした。
あれ?ちょっと長かったかな?と思って30mmピッタリに切り直してもダメ!
で、何度も試行錯誤した結果・・・
19mmはアウト。18mmならコッキング出来ました。
もしかしたら、96LEウッドとSR96はトリガー周りが変更されているので、その関係かも知れません。
しょうがないので18mmスペーサーで一旦組んで初速を測ってみました。
写真を撮り忘れましたが、0.48g弾の場合で、だいたい0.82〜0.84jくらいは出るので、まぁ、これでもいいんですけどね。
因みに軽量弾で測るとj(ジュール)は下がりました。
96LEウッドに近い位出てはいますが、ノーマルより下がってしまいました。これがちょっとモヤモヤします。この原因は分かっています。
気密を上げる為に交換したmodifyのピストンヘッドは、柔らかくて直径が大きいんです。
だから気密が取れるんですが、摺動抵抗は増えるのでピストンスピードは下がります。
ピストンスピードを回復させる為には、レートの高いスプリングが必要でしょう。
更にもうひとつ問題発見!
ピストンスプリングとスプリングガイドの間のクリアランスが無いんです。スプリングを持ち上げてもスプリングガイドが抜け落ちません!
スプリングガイドのバリ取りをしても変わらなかったので、スプリング内径が狭いのかも知れません。
スプリング内径は約7.2ミリでした。96LEウッドのスプリング内径は7.3ミリだったので、公差の範囲内なんでしょう。
でも、これは流石に抵抗になる筈なので、何とかしたいですね^^;
ただ、この状態でも結構な初速とグルーピングが出てました。まさかこれ、わざと⁉︎じゃないですよね、マルゼンさん?
と言うのは・・・スプリングが縮んだ時には内径は僅かに太くなるでしょうから、その状態でクリアランスをギリギリに設定して、スプリングが伸びる際の方向性の維持と共振の抑制・・・と考えれば、分解状態でのクリアランスの有無はどうでも良い事です。
そこまで細かい設定がしてあるなら脱帽です。今すぐノーマルに戻します。が、これはあくまでも私の想像なので、個人的には機械として抵抗なく動く状態にしたいです。
という訳で、スプリングを変える事にしました。
下町職人おじさんスペシャルスプリングを使う
前回、96LEウッドを弄った時に勢いで買って来た、町工場おじさんスペシャルスプリングです。
外径10mmの線径1.2mmなので先程のクリアランス問題も改善する筈です。
これを・・・
ちょん切って初速調整したり(スプリングって硬いんですね⁉︎切断工具は競技自転車用のケーブルカッターです)、
削ってバリを取ったり、
ひん曲げて座面を作ったり、を何度も繰り返して、
最終的にノーマルよりかなり短くなりました。でも、よく市販されている極太線径のスプリングと違ってちゃんとプリロードも掛かるので、とりあえずこんなもんでしょう。
スプリングの入手方法に関してはこちらも参照して下さい↓
チャンバーの気密改善
せっかくバラしたのでチャンバーもチェックしました。すると・・・
チャンバーパッキン部分からもエアが漏れているようです。
この状態でマズルを塞ぎ、ピストンを引いて放すとチャンバーパッキン辺りから、スーッとエアが漏れる音がします。
チャンバーをバラして、VSR-10で何度もやったセロテープ巻きをやってみます。
ちょっと見にくいですが、インナーバレル側とチャンバー側に2つあるチャンバーパッキンにセロテープを幅2ミリに切って巻いてみました。
これでエア漏れがゼロになる訳じゃないんですがエア漏れ量が減ったようで、エア漏れチェックをしたらピストン前進速度が少し下がりました。
ただ、これはまだ研究の余地がありそうです。
シリンダー本体
シリンダー本体やスプリングガイド、ピストンについては、96LEウッドの時と同様、バリ取りしてスベッスベにしただけなので、詳細は省きます。
96LEウッドの時にどんな事をしたのか?はこちら
初速測定
スプリングの切り方、セロテープの巻き数、グリスの塗り方等の試行錯誤を重ね(後述します)、何とか初速を規制値内まで落とす事が出来ました。
初速は、0.48gで10発計測しました。今回の最高値は・・・
0.948jでした。
今回の10発の初速データは以下のようになりました。
これを箱出しのノーマル新品状態の時に測った数値と比べてみます。
箱出しではこんな数値だったので、命中精度に最重要な初速変動幅、つまり初速の安定性が少し向上したようです。
まとめ
前述した試行錯誤について忘れる前に忘備録しておきます。このブログは自分の忘備録でもあります。
写真無しですみません。
・スプリングについては、上端と下端の切れ目の切り口を180度ずらして応力を分散させる。
座面を作る時に、スプリング本体に無理な応力を掛けないよう注意する。
・シリンダーのバリ取りをしつこいくらい丁寧に。
・セロテープの巻き数は多分まだ少ないです。今後もう少し研究します。
・グリスは温度による粘度変化を抑える為にシリコングリスを使い、可能な限り薄く塗る。
シリコングリスにも種類があり、より低温での変化が少ない物もあるので、その内試してみます。
とりあえず、0.95j以内に収まったので初速は、こんなもんですかね。暫くは、ちょくちょく初速を測って、これ以上あがらない事をチェックします。
ただし、初速の安定性はもっと上げたいです。出来れば初速の変動幅を0.02j位に抑えたいですね。
現時点で最も未完成感の強いチャンバーがキーポイントな気がします。でも、どうすれば正解なのか分かりません(TT)・・・ここからは手探りです。
とりあえず、近い内に10m実射でグルーピングを見てみたいと思います。
では、今回はこの辺で。
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コメント
お疲れさま。
>だから気密が取れるんですが、摺動抵抗は増えるのでピストンスピードは下がります。
これが目からウロコでした。
手で操作するAPS-3のコンプレスト用シリンダー(のOリング)とは根本的に異なるんですね。
続きも楽しみにしています。
コメントありがとうございます。
マルゼンさんにはAPS-3ライフルカスタムの開発を頑張って欲しいです。
エアソフトガンの価格で真円度の高いシリンダーは作れないので、目に見えない程度にシリンダー自体が歪んでいる筈です。
ライフルもコンプレストエアー方式になれば「ライフルクラスはフライヤーとの闘い」なんて事も減るんじゃないか?と思って(願って)います。